第十五話 幸せの中でその十二
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「知ってるよ」
「だよね、そうなんだよ」
「そうなんだ。まあとにかくね」
意味がわからないがだ。希望は彼なりに考えて述べた。
「ハンバーグの次はね」
「オムライスよね」
「オムライス好きかな」
「大好きだよ」
間隔を全く置かずにだ。答える千春だった。
「千春大好きだよ、オムライス」
「そう。だったらね」
「特にね」
「特にって?」
「希望と一緒ならね」
それならばだ。余計にだというのだ。
「好きだよ」
「有り難う。僕もね」
「希望もなの?」
「千春ちゃんと一緒ならね」
二人は同じだった。この時も。
「特に美味しくなるよ。このハンバーグだって」
「そうだよね。ハンバーグでも」
「うん、じゃあね」
こう話してだった。二人はハンバーグをそれぞれ食べ終えた。
そしてそれからだ。あの娘さんが来た。そしてだった。
二人の前にオムライス、かなり大きいラグビーボール型のだ。しかもだ。
その黄色い卵の生地の上にケチャップをかけている。それを出してから二人に言ってきた。
「アイスクリームは後で」
「後で、ですか」
「はい、お持ちしますので」
こうだ。希望に答えてきたのだ。
「オムライスの後で」
「わかりました。それじゃあ」
「ではゆっくりとお楽しみ下さい」
にこりと笑ってだ。娘さんは二人に告げた。そうしてだ。
ハンバーグやスープ等の皿はあげてだ。二人の前から去った。それからだ。
二人は銀色のスプーンを持ってオムライスを食べはじめる。鮮やかな黄色の生地と共だ。
オレンジのライス、ケチャップで色をつけたそれを食べる。するとだ。
卵とケチャップ、ライスの味の三つが口の中を覆う。その絡み合った味を食べながらだ。
希望はにこりとしてだ。千春に言った。
「美味しいよね」
「うん、こんな美味しいオムライスってね」
「食べたことなかったかな」
「なかったよ」
実際にそうだとだ。千春は答えた。
「ここまで美味しいのはね」
「そうなんだ。よかったよ」
「希望もよね」
「これまでね。ここのオムライスは何度も食べてきたけれど」
だがそれでもだというのだ。
「これだけ美味しいとは思わなかったよ」
「いつも以上に美味しいんだ」
「だから。千春ちゃんと一緒だから」
自分の目の前にいる彼女本人を見ながらの言葉だった。
「凄く美味しいよ。こんな美味しいオムライスって」
「なかったんだ」
「千春ちゃんと同じだよ。それでね」
「それで?」
「二人で食べよう」
そのだ。これまで食べたことがないまでに美味しいオムライスをだというのだ。
そしてそ
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