第二章
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「何か私の性格聞いて申し込んできたらしいけれど」
「あっちからね」
「絶対に嫌よ、うちの業界じゃ有名な鼻摘み者だから」
「そんなに嫌われているの」
「嫌味でケチで底意地悪くて執念深くて仕事は何も出来なくてその癖プライド高くて小心者で執念深くてってね」
「そんな人なの」
「そう、絶対に嫌よ」
「私も」
今度は美佐子が言ってきた。
「あの、田岡克弥さんって」
「公立学校の数学の先生ね」
「この人も先生の世界で評判悪いの」
「そうなの」
「器が小さくて融通は全く聞かなくて恩知らずで無神経で尊大で図々しくてそれでいて全くの無能だって」
「その人もなの」
「あの、私の性格を聞いてというけれど」
どうかという顔で言った。
「評判悪いし私もお会いしたことあるけれど」
「いい人じゃないのね」
「かなり」
「あの、あの次男さんね」
まさにとだ、美里子はまた言った。
「私会ったけれど最低よ」
「じゃあ二人共」
「嫌よ」
「お断りしたいわ」
美里子も美佐子も言った。
「あんな人は」
「何とか出来ないかしら」
「お二人共あんた達の性格を見てだけれど」
「顔じゃなくて性格を見てだからな」
父も言ってきた。
「これで顔だけ見てならな」
「そうね、人は顔だけじゃないってね」
妻は夫にも答えた。
「言えてね」
「断われるけれどな」
「性格を言われると」
「困るな」
「私その性格でお断りなの」
「私も」
妹も姉もまた言ってきた。
「あの人は」
「何があってもよ」
「そうなのね、性格悪い人だから」
「お断りして」
「もう何があっても」
「若しお見合いして絶対にと言われたくないから」
「もう考えるだけで嫌だし」
二人は母にそれぞれ正反対の顔で言った、見れば二人共長い髪の毛で姉は髪の毛を左で妹は右で束ねてそこから出している。
普通の人にはそれ位の違いであった、だが両親にはその違いもわかった。その姉妹の話を聞いていた。
「もうね」
「お断りってことで」
「そうなのね、困ったわね」
「性格を気に入ってとか言われると断れないしな」
父は腕を組んで言った。
「本当にな」
「ここはね」
「本当に困ったな」
「どうしたものかしら、顔だけ見てなら断わられたのに」
母はどうしよかと思った、だが。
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