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エルフと結婚
第六章

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「それは私もだった」
「やはり種族が違いますと」
「そう思うな」
「左様ですね」
「だが今はそう思っている」
 妻のその顔を見て微笑み述べた。
「そなたを妻に迎えてな」
「そう言って頂けますか」
「素晴らしい識見だ」
 内政、国を豊かにさせる為のそれだというのだ。
「私はいい軍師を得た」
「そして私もよき主を得ました」
「お互いにだな」
「はい」
「そうだな、そしてそなたの心根にな」
 それに加えてというのだ。
「穏やかでかつ上品な」
「そうしたですか」
「そなたの心根が好きになった、その外見もな」
「私もです、今では人の姿を美しいと思い旦那様の礼儀正しく鷹揚な」
「私はそうした人間か」
「種族が違っても私の意見を聞いてくれました、女性でも」
「認めてか」
 カターニャを見て問うた。
「そうなのか」
「左様です、先に申し上げた通りエルフは女性の地位は低いというのに」
「誰の意見でもいいと思えば認める」
 侯爵は自分の考えはそうだと答えた。
「それならな」
「左様ですね、ですから」
「私のその気質がか」
「嬉しく思いまして今でも」
「そうか。では私達はな」
「今では心でもですね」
「認め合っているな、種族が違っても」
 それでもとだ、侯爵はこうも述べた。
「よい識見、優れた資質と人柄ならな」
「それでいいですね」
「そうだな、ではこれからもな」
「お願いします」
「こちらこそな」
 侯爵もカターニャも微笑んで応えた、侯爵は妻の助言を受けつつ国を豊かにしていった。そしてだった。
 それを見たエルフの国も人間の国を真似て内政を行い発展した、この時にようやくカターニャを認めた。 
 人間の王国とエルフの王国はそれからも婚姻を進めそれは王族にも平民にも及び。
 やがて連合王国になった、そうして大国となった。そのはじまりがこの二人の結婚であったことは人とエルフの連合王国の歴史に残っていることである。


エルフと結婚   完


                  2021・5・12
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