第十五話 幸せの中でその八
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「だから一緒に入って食べよう」
「うん、それじゃあね」
希望もにこりと笑ってだ。自分の隣にいる千春に顔を向けてそう言ったのだった。こうしてだった。
二人でその店の扉を開けた。中はダークブラウンの木の床に椅子にテーブルがあった。
そして壁や天井は白でレトロな感じの照明が下がっている。何処かガス灯を思わせる。
カウンターも木造でその奥に厨房がある。厨房の色はシルバーだ。
そのダークブラウンとシルバーの対象的な中でだ。希望は千春に店の中の二人用の席の一つに顔を向けてだ。こう彼女に言ったのだった。
「じゃああの席に座ろう」
「そうね。今からね」
「それからメニュー見よう」
まずは座ってからだというのだ。店の席に。
「そうしようね」
「うん、あの席にね」
こう二人で言ってだ。そうしてだった。
二人でその席に座って。そうしながらだ。テーブルの上にあるメニュー、何枚かの紙はビニールで覆ったそれを開いた。それからだ。
希望はだ。こう千春に言った。
「このお店で美味しいのはね」
「何が美味しいの?」
「何でも美味しいけれど特にね」
何が美味しいかとだ。希望はそのメニューを見ながら話す。
「オムライスとハンバーグが美味しいんだ」
「その二つがなのね」
「そうだよ。ハンバーグにはサラダとスープもたっぷりついていて」
しかもだというのだ。
「オムライスにはアイスクリームもついてるよ」
「アイスクリームまであるのね」
「しかもどっちも大きいしね」
希望はメニューを見ながら千春ににこにことして話していく。
「両方食べたらお腹一杯になるよ」
「いいこと尽くしよね」
「そうなんだ。だからね」
千春に勧めたというのだ。この店をだ。
こう話してだ。希望は千春にあらためて尋ねた。
「どれにするかな。やっぱり」
「うん、オムライスとハンバーグにしよう」
希望に言われたメニューをだ。千春はそのまま言った。
「それにしよう」
「うん、それじゃあね」
「希望と一緒のもの食べるから」
これはもう千春の中では既に決まっていることだった。変えようがなかった。
「じゃあね」
「わかったよ。すいません」
ここでだ。希望はお店の人を呼んだ。すぐに二十歳位の小柄な白と青の服を着たウェイトレスの人がやって来た。膝までのスカートがよく似合っている。
「オムライスとハンバーグ二つずつお願いします」
「オムライスとハンバーグ二つずつですね」
「はい」
希望は微笑んでそのウェイトレスに答えた。
「それでお願いします」
「わかりました。ところで」
「ところで?」
「只今サービスデーでお二人様で来ら
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