第三章
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「だから」
「そういうことだね」
「ええ、その時宜しく」
「うん、しかしね」
「しかし?」
「いや、俺達って凄い奥手な感じするよね」
岳人はかなに笑ってこうも言った。
「そうよね」
「そうね」
「俺もそうだけれど」
「私がね」
かなは岳人に応えた、二人共まだ寒いのでコートやズボンで完全に身を包んでいる。暦は春だがまだ冬に近い恰好だ。
「どうしてもね」
「ルールはだね」
「守らないとっていうから」
「それわかってるから」
「それでなの」
「付き合っているし」
「御免なさい、本当に私そうしたことは守らないと」
法律はルールはとだ、かなは岳人に申し訳なさそうに言った。
「制服の着方とかも」
「全部だね」
「そうしないでいられないから」
「法律にしても」
「そうした性格だから」
それこそ一歩どころか半歩も違反の域に足を踏み入れられないというのだ。
「今までね」
「だからそうしたことをね」
「わかっていてなの」
「俺かなちゃんと付き合ってるから」
「いいの」
「かなちゃんは真面目なだけだよ」
それに過ぎないというのだ。
「悪人じゃない、むしろ凄くいい娘で」
「そうなの」
「皆にこれはってこと意外は言わないし」
口煩くもなくてというのだ。
「意地悪でもないしね、むしろ自分から何でも動いて」
「いいの」
「少なくともルール破る俺恰好いいとか思ってる奴よりはね」
そうした輩よりはというのだ。
「ずっといいよ、それで自分は何も仕事しないっていうね」
「私そうした人は」
「俺だって嫌いだよ、そんな奴」
人に押し付けてばかりで自分は何もしない奴はというのだ。
「だからね」
「私がそうした人でもいいの」
「うん、じゃあ夜は」
「ええ、二人でね」
「それじゃあね」
岳人はかなに微笑みで応えた、そしてだった。
二人で厳島神社を観て回って厳島自体もそうしてだった、旅館で風呂に入って浴衣に着替えて夕食も楽しんだが。
二十歳になっていないのでお酒はなかった、かなはオレンジジュースを飲んで岳人もそうした。そのうえで。
夜になってからだ、かなは二つ並んで敷かれている蒲団の上で正座して岳人をじっと見て頬を暗がりの中でもわかる位に真っ赤にさせて言った。
「それじゃあ」
「今からだよね」
「そうしたことをね」
「するんだよね」
「あの、私」
かなは俯いて顔を真っ赤にさせたままでさらに言った。
「確かに法律はルールはどうしてもだけれど」
「守っているんだ」
「その、私も女の子で」
かなり慌てた口調での言葉だった。
「男の子程じゃないけれどこうしたことには」
「興味あるんだ」
「ない女の子もいないから」
それでというのだ。
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