第十五話 幸せの中でその六
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「僕の覚えてる限りじゃ違うけれど」
「そうなの?」
「うん、千春ちゃんその時白のワンピース着てたけれど」
「そうだったよね」
服装の記憶は一致していた。それは。
「千春いつもその服だからね、夏は」
「うん。だからよく覚えているけれど」
あの服は忘れられなかった。希望にとっては。だからこその言葉だった。
「それでも。お山?」
「そこではじめて会ったよ」
「そうだったかな。確かにあのお山もよく一緒に行ってるけれど」
「希望あのお山によく彼と一緒に行ってるよね」
ふとだ。千春はこんなことも希望に言ってきた。
「そうだよね」
「遠井君と?それは確かにそうだけれど」
「そのことも知ってるよ」
「そのことはわかったけれど。それにしても」
どうなのかとだ。希望は首を捻りながら千春に話していく。
「僕達ってあのお山ではじめて会ったんだ」
「そうだよ。それでね」
「それで?」
「また。あのお山一緒に登ろうね」
今度はこんなことを言ってきた千春だった。
「そうしようね」
「うん、それじゃあね」
あの山を一緒に登る約束もしたのだった。そうしてだった。
希望はその日曜に商店街の前に立っていた。彼なりにお洒落をしてそのうえでそこで千春を待った。彼がそこに来て少し、十分程経つとだった。
そこに千春が来た。千春は紅と黒のミニスカートに赤の奇麗なベストに白いブラウス、それにスカーレットのアイボリーネックという格好だった。髪型はいつも通りだ。
その奇麗な脚は黒のハイソックスで包んでいる。その千春を見てだ。
希望は目を細めさせてだ。こう彼女に言った。
「いいね。とても」
「千春の今の格好?」
「千春ちゃん自身もだよ」
服装だけでなくだ。本人もだというのだ。
「可愛いよ。奇麗だし」
「有り難う。希望もね」
「僕も?」
「いい感じだよ」
彼のその服装もいいというのだ。ラフだがそれでも清潔に整えたその服装がだ。
「とてもね」
「そんなにいいかな」
「似合ってるよ。それも勉強したの?」
「雑誌でちょっとね」
そうしたとだ。微笑んで答える希望だった。
「その格好にしてみたけれど」
「うん、凄くいいよ」
「そう言ってくれて嬉しいよ。それじゃあね」
「そのお店に行くの?」
「どうしようか。最初はそうする?」
「それもいいけれどまずは他のお店に行かない?」
「他の?」
「何か食べよう」
具体的にはそうしたいとだ。千春は希望に言った。
「もうすぐお昼だから」
「そうだね。それじゃあ」
「この商店街って美味しいお店多いよね」
「そうだよ」
その通りだとだ。希
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