第十五話 幸せの中でその四
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「俺も最近になってわかったんだよ。あいつはいい奴だ」
「で、嫌いじゃない」
「そう言うんだな」
「御前等に対するのとは違ってな。まあ俺も最近まであいつを馬鹿にしてたからな」
悔恨も見せてだ。彼は述べた。
「けれどこれからはな。あいつには負い目もできたから友達になれないけれどな」
「へっ、あんな奴と友達になって何になるんだよ」
「何にもならないだろ」
「そう思うのは御前等が真性の屑だからだな」
まさにだ。それ故にだというのだ。
「わからないんだよ。まあ俺はもう御前等に二度と声かけないから安心しろ」
「それは他の奴もかよ」
「クラスの他の奴もかよ」
「そうだよ」
まさにだ。その通りだというのだ。
「だからな。御前等も俺に声かけるな」
明らかなだ。拒絶の言葉だった。
「顔見るだけでも胸糞悪くなるからな」
「何だよ、何であいつが嫌われなくてよ」
「俺達が嫌われるんだよ」
二人だけがわからなかった。しかしだ。
確かに周りの希望を見る目は変っていた。馬鹿にする者は殆どいなくなっていた。だがそれでもだ。今も希望はそんなことは気にならなくなっていた。
それでその日曜のその朝にだ。彼は商店街の入り口で待ち合わせをすることを決めてからだ。千春に対して笑顔でこう言ったのだった。
「もうね。誰かに何を言われても」
「気にならなくなったの?」
「どう思われてもね。よくなったよ」
「完全にそうなったのね」
「人は人だし。僕は僕だから」
まずはだ。こう言ってだった。
「それに人がどう思っても。理解してくれる人がいるなら」
「そういう人がいるなら?」
「それでいいよ。人の悪口とかは気にしたらいけないよね」
「うん、そうだよ」
にこりと笑ってだ。千春は希望にそうだと答えた。
「その通りだよ。色々な人がいてね」
「色々な人がいるよね」
「それで中にはよくない人もいるから」
「そうした人が言うことはだよね」
「気にすることないよ」
そうだというのだ。
「むしろ聞いたらいけないよ」
「ずっとね。僕はそのことがわかってなかったよ」
かつてのことはここでも思い出した。だが今は。
そのことに苦痛をかんじるのではなく。過去のものととして捉えて述べられた。
「それでも今はね」
「わかったからなのね」
「うん、やっていけるよ」
微笑んでだ。希望は千春に答えた。
「そう出来る様になったよ。だからね」
「他の人の悪口や陰口は気にならないのね」
「ならなくなったよ。けれど忠告は違うよね」
「うん、悪口と忠告は違うよ」
「そちらは聞きたいね」
そうだというのだ。それはだというのだ。
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