第十五話 幸せの中でその三
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「御前等遠井がふられた時あっさり見捨てただろ」
「それが悪いのかよ」
「駄目だってのかよ」
「そんな奴等にはいいことなんて起こらないんだよ」
因果応報だというのだ。要するに。
「人はその行いが返ってくるからな」
「じゃああいつはそれだけいいことしてるのかよ」
「成績もあがって痩せて」
「しかもいい親戚と一緒に住んであんな可愛い娘もできて」
「そうなるだけのことをしてきたっていうのかよ」
「俺も最近わかったんだよ」
何がわかったかもだ。彼は二人に話す。
「あいつ、心根がいいんだよ」
「だからかよ」
「それでああなってるっていうのかよ」
「ああ、そうなんだろうな」
こう話すのだった。
「腹は奇麗で人を裏切らないしな」
「俺達とは違うってのかよ」
「そうだってのかよ」
「ああ、そうだよ」
まさにそうだというのだ。
「全然な。だからな」
「けっ、忌々しいな」
「俺達のことは俺達のせいだってのかよ」
「俺もな。実はな」
彼は二人に対しても言った。
「御前等嫌いだよ」
「何っ、何でだよ」
「何で俺達のことが嫌いだってんだよ」
「御前等性格悪いからだよ」
他でもないだ。その性格故にだというのだ。
「人をけしかけてそれで手の平返して率先して馬鹿にする様な奴等だからな」
「だからそれはな」
「当然のことだろ」
「あいつの友達の友井はそんなことしないだろ」
真人のこともだ。彼は言った。
「俺はあいつとは話したことないけれどな」
「嫌いじゃないのかよ、あのチビ眼鏡」
「そうなのかよ」
「ああ、嫌いじゃない」
二人に対するのとは違い、だというのだ。
「心根がしっかりしてるからな」
「で、俺達は嫌いなのかよ」
「そうだってんだな」
「心根が腐ってるからな」
彼等はそうだというのだ。居川と田中はだ。
「こうして話すのも胸糞が悪くなる。それにな」
「それに?」
「それにって今度は何だよ」
「御前等を嫌いなのは俺だけじゃないからな」
こうも言うのだった。
「クラスの殆ど全員が御前等嫌いだからな」
「俺達が性格が悪いからっていうのかよ」
「それでかよ」
「そう。それでだよ」
性格、それが一番大事だというのだ。
「御前等正直遠井なんかよりずっと嫌われてるからな。性格が悪いからな」
「じゃああいつは嫌われてないってのかよ」
「あの馬鹿は」
「あいつはもう馬鹿じゃないだろ」
テストでいい成績を取った。それならばだというのだ。
「しかも痩せたし色々努力しててな。しかもな」
「しかもかよ」
「それに加えてってのかよ」
「あ
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