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艶やかな天使の血族
2部 銀髪の悪魔
10話 花に魅せられて
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もう引き返す事は出来ないのでね……。腹は括ったよ。だが、君の人生は君のものだ。君がこの道から離れても私がとやかく言う事は無い。私はもう途中下車は出来ないのだよ」

 意味深な台詞を言うエリオット。
 そうだ。もう途中下車は出来ないし、自分自身で選んだ運命だ。
 あの子を連れてきたのも自分自身で選んだ運命だ。なら、この際、あの花に魅せられるのも悪くない話かも知れないな。この身を快楽に溺れさせるのも悪くない。
 そう。それもそんなに悪くない。雄に堕ちるか堕ちないかは自分自身だ。雄に堕ちたら堕ちたで、徹底的に貪り合うさ。
 その夜の夕食も朗らかな空気が流れていた。戦争は確かに近づいているが、少なくともまだここは朗らかだった。
 だが、この夜を境に、銀髪の悪魔はまるで媚薬を飲まされたように、妻以外の女との関係に溺れていく。
 深夜になり、エリオットは珍しく夜更しをした。書斎に入り、時を待っていた。密かに水菜に自分の書斎に来るように伝えた。彼女は何の用なのかわからないでいた。静かにドアのノックする音が聴こえた。彼女には自分の書斎に来る時はノックを4回するように伝えた。それが秘密の合図だった。
 ドアが4回ノックされた。一応、確認する。

「誰かな」
「水菜です、エリオットさん」

 静かにドアを開ける。水菜がいた。そのまま中に入るよう促す。
 彼女が部屋に入った。
 鍵を掛ける。
 
「エリオットさん……?……!?」

 彼女を壁に押し付けてエリオットがその唇を奪う。

「ンンッ…ンンッ…エリオットさん…」
「……そうだ……この……感覚だ……」
「エリオット…さん…」

 そして、一度、唇を離す。
 銀髪の悪魔が薄い微笑みを浮かべた。
 そして、悪魔の甘い囁く声が聴こえた。

「どうしたのですか…?いきなり…こんな…キスをするなんて…エリオットさんが…」
「……実は、このキスが初めてでは無いんだな……。この部屋で酔いつぶれた時に実は君のこの唇を奪わせて貰った」
「あの時に……!?」
「ああ…あの時に……ね。その時と同じ味がする。頭の中が麻痺するみたいな感覚だ。それが…たまらなく気持ちいい…すごくね」

 エリオットの指先が水菜の唇に触れる。右手の親指がなぞる。左手は彼女の腰に回る。そして抱き寄せた。
 水菜が目の前には誘惑的な眼差しのエリオットがいる。銀色の瞳が容赦なく輝く。水菜はこれが夜のエリオットの姿なのかと思った。本当の夜の姿。
 薄いシャツと黒いインナーと黒いズボン。唇が微笑み、銀髪が綺麗に輝く。
 
(綺麗……。夜の姿のエリオットさんは、艶やかな天使みたい……。奪われたい。このひとの夜の姿を知りたい)

「嫌ではないんだな。抱かれたいんだね。私に……いや、俺に」

(口調を
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