第三章
[8]前話
「ふわりの前の飼い主は」
「夏でもだったな」
「あのままだったよ」
毛を刈っていなかったというのだ。
「そんなこと全然しなかった」
「あの姿のふわりがお気に入りだったからだ」
だからだとだ、父は息子に答えた。
「毛の深いな」
「その姿のふわりが可愛いからか」
「だからだ」
その為にというのだ。
「それでだ」
「ふわりが暑くでもか」
「夏でも平気で服着せていたな」
ふわりを可愛がっていた時はというのだ。
「インスタにも載せてたな」
「その時のふわりをな」
「可愛いと自慢してな」
「それはどうしてかっていうとか」
「何度も言ってるな、奴等にとってふわりはおもちゃだったんだ」
自分達が言っていた家族や娘ではなかったというのだ。
「おもちゃが暑いとか寒いとかあるか」
「それはないよな」
洋介もそれはと理解して応えた。
「絶対に」
「おもちゃに心はないからな」
「そうは考えないな」
「だからだ」
それでというのだ。
「ふわりが暑いともな」
「思わないでか」
「それでだ」
「夏も毛は刈らなかったか」
「こうしてな」
「そうだったんだな」
「全部が全部そうだった」
まさにというのだ。
「あいつ等にとってはな」
「ふわりはおもちゃでか」
「ふわりのことなんて考えていなかったんだ」
「自分達が遊んでるだけか」
「おもちゃでな、だからそんなこともしなかった」
「ふわりは暑かっただろうな」
夏の間はとだ、洋介は心から思った。
「夏は」
「我慢していたんだ」
「それでもか」
「辛くてもな」
「散歩に連れて行ってもらってなくなってもご飯を忘れられてもだよな」
「全部我慢していてな」
それでというのだ。
「暑いのもな」
「それで挙句に捨てられたんだな」
「あいつ等にな」
「つくづく犬っていうか生きもの飼う資格ないな」
「そう思うならな」
「ああはなるまいだな」
「そうだ、だから夏はな」
ふわりの為にというのだ。
「刈ったんだ、じゃあな」
「これからもだよな」
「夏はこうしていくぞ」
「ああ、わかったぜ」
洋介は父の言葉に頷いた、そうしてだった。
毛を刈ったふわりと遊んだ、夏のカットにしてもらったふわりは快適に身体を動かしていた。洋介はそんな彼女も可愛いと思った。
犬は夏は 完
2021・6・28
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