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戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第4節「世界を壊す、その前に──」
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し、心を震わせた。



「戦ってでも欲しい真実……?」
「そうだ。お前達にだってあるだろう?だからその歌で月の破壊を食い止めてみせた。その歌でッ!シンフォギアでッ!戦ってみせたッ!」
「違うッ!そうするしかなかっただけで…………そうしたかったわけじゃない」

俯く響。
一見綺麗事に聞こえるその言葉。だが、それは紛れもない、立花響の本音でもあった。

防人としての覚悟を決め、剣として、自らを鍛え続けてきた翼。

歌で世界から争いを無くすため、力を手にしたクリス。

第二種適合者である奏でさえ、全てのノイズを滅するために戦士となる覚悟があった。

だが、立花響という少女は、元を辿れば戦う立場の人間ではない。彼女の根本は、世界を救った英雄(ヒーロー)でも、人類守護の使命を担う防人(ディフェンダー)でもない。

天羽奏に生命を救われただけの、ただの少女。
何処にでもいる、普通の女の子なのだ。

これまで彼女が戦ってこられたのは、「誰かを助けたい」という思いが、胸の奥で叫んでいたからだ。

それ故に今、響にキャロルと戦うだけの理由はない。

「わたしは戦いたかったんじゃない。シンフォギアで……守りたかったんだッ!」

キャロルを見上げ、響は絞り出すように叫んだ。

しかし、彼女はそれを認めない。
自身の周囲を囲うように、琥珀色の魔法陣を展開する。

「……それでも戦え。お前にできる事をやってみせろッ!」
「人助けの力で、戦うのは嫌だよ……」

ルナアタックの時は、偶然巻き込まれたのが始まりだった。

フロンティア事変の時は、人助けの力(シンフォギア)で誰かを傷付けようとしていたF.I.S.の装者達が相手だったから、戦うしか無かった。

ガングニールの力を、人助けの為に振るってきた響にとって、その力で自分と戦う事を求めるキャロルの要求は受け入れ難いものだったのだ。



だが……響のその一言が、彼女に火をつけてしまった。



「く……ッ!お前も人助けして殺されるクチなのかッ!!」

キャロルは両掌を空へと掲げ、もう一つ魔法陣を展開する。

足元と頭上、二つの琥珀陣はそれぞれ対極の方向へと輪転し、大地のエネルギーを昂らせていく。

翔の背後で響はただへたり込み、その様子を見上げていた。
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