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戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第4節「世界を壊す、その前に──」
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って迫り来る。
身を庇う構えを取る響だが、その風速は人間一人吹き飛ばす事など容易い。

「──ッ!?」

抉れる地面と共に、宙へと巻き上げられる響の身体。
──と、そこへ駆けつけた銀色の影が、響をだき抱える。

竜巻が消え、土煙が晴れた時、先程より更に深く抉れ、クレーターとなった場所に降り立ったのは、RN式生弓矢を纏った翔だった。



「だから言ったろ。怪しいって」
「翔くん……」

響を降ろし、俺は頭上に架かった渡り廊下の手すりに立つ少女を見上げる。

明らかに不振な出で立ちと、今目の前で行使していた謎の現象。

魔法陣のようなものを描き、超常現象を引き起こす。加えてこのあからさまな格好。
まさかとは思うが……魔女か?

常識的に考えれば、まず有り得ない存在だ。
しかし、この世には聖遺物やら異端技術といった、常軌を逸した現象を引き起こす存在が幾つも存在している。

ならば、或いは──という事もあるのではないだらうか?

などと考察しながら、俺はキャロルと名乗った少女の挙動を観察する。

「ほう、伴装者まで現れるとは好都合。だが……何故シンフォギアを纏おうとしない?歌おうとしない」

俺と響を見下ろして……いや、あいつの興味は響の方か?

しかもシンフォギアの事を知っている。
知った上で喧嘩を売りに来た、といった言動だ。

つまりこれは計画犯。敵は複数犯って所だな。

「戦うよりも、世界を壊したい理由を聞かせてよッ!」
「おい響、初対面の相手に動機を喋る正犯が居るわけ──」

響らしい問いかけだ。いつだって戦うよりも、話し合いたいというのが彼女の変わらぬ根幹だ。

相手が危険な輩だからと、先に手を出す事はしない。
話し合い、出来れば戦わずに手を繋ぎ合いたい。それが彼女の願いで、信念なのだ。

しかし、流石に初対面の敵対者に、動機を聞かれて「実はこれこれこうで」と説明してくれる奴なんざ、漫画に出てくる悪党でもそうそういないぞ。

「ッ………………」

キャロルは手すりを飛び降りると、緑の魔法陣でふわりと浮遊して瓦礫の上に着地する。

あの緑色の魔法陣は、どうやら風を操るものらしい。

「理由を言えば受け入れるのか?」

……語ってくれるのかよ。

とは言え語られたところで、それを受け入れる理由はない。
異端技術を行使して、世界を壊すなどと豪語しているのだ。冗談ではないのだろう。

「……わたしは、戦いたくないッ!」
「お前と違い、戦ってでも欲しい真実がオレにはあるッ!」

真実の探求?
話が読めん……どういう事だ……?

俺の困惑を他所に、キャロルは続ける。

その時、耳朶を打った響の言葉が、俺の困惑を遥か彼方へと吹き飛ば
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