第二章
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その彼を見つつだ、ウォーカーはハムリーに向かい合って話した。
「じゃあ俺は戻るな」
「ウォーカーさんがされたことはSNSで評判になっていて寄付が集まっていますが」
「寄付?いらないさ。俺は俺の考えでこの生活をしてるからな」
ホームレスをしているというのだ。
「だからな」
「それは宜しいですか」
「ブラボーと一緒に暮らせたらな、それじゃあな」
「これで、ですか」
「またな、ブラボーに何かあった時は宜しくな」
笑顔で言ってだった。
ウォーカーはブラボーと共にその場を後にした、ハムリーが見送るその背中にははっきりと光が見えた。
ウォーカーを見た後でハムリーは呼ばれてインディアナポリスに来ていた、その場にカルフォルニアから向かっている人がいたのだ。
スティーブ=マグメル、中学生の頃からホームレスをしているという禿げ上がり黒い目と黒い髭で顔中を覆ったやや小柄な彼は自転車に乗ってだった。
十一匹の犬達をカートに取り付けてそのうえでカートを自転車で引っ張りながらカルフォルニアからインディアナポリスまで犬達を里親にという人の元に連れて行っていた、その話はすぐにSNSでアメリカ中に伝わり。
そうしてハムリーも知って他の人達と同じ様に支援者として犬達の狂犬病や去勢、フィラリアの処理の手配をした。
そうしてだ、数週間かけて向かっていた彼を出迎える用意をしていた。やがて犬達を連れた自転車を見てだった。
ハムリーも他の支援者達も喜びの声をあげた、そうしてだった。
マグメルを迎えて抱擁した、それから犬達を彼等を求めていた里親達に引き渡し。
スティーブを笑顔で迎えた、そして彼自身への支援も申し出たが。
「いいさ、俺はカルフォニアに戻ってな」
「ホームレスのままで、ですか」
「こうしたことをやっていくさ、だからな」
「支援はいいですか」
「好きでやってるしな」
ホームレスをというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「それはいいさ、犬を助けてくれて有り難うな」
犬達への支援については礼を述べた。
「これからも俺を助けようとする分な」
「犬達にですか」
「その手を差し伸べてくれよ、じゃなあ」
笑顔でこう言ってだった。
マグメルはカルフォルニアに向かって自転車を動かしはじめた、ハムリーは彼の背中にも光を見た。そして二つの気高い光を一生忘れないのだった。
ホームレスの勇気 完
2021・6・27
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