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人間好きな馬達
第二章

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「見る目は温かいからな」
「だからですか」
「わかるさ、だったらな」
「あの娘に近寄って」
「人参でもあげたらいいさ」
「そうですか」
「丁度売ってるしな」
 市場にというのだ。
「だからな」
「そこで買って」
「何かあげたらいいさ」
「それでは」
 ステファニーも頷いてだった。
 近くの八百屋の出店で人参を買った、そうして。
 ジェニーに近寄ると首に札があってジェニーのことが細かく書いてあった、そして人参をあげると。
「食べる?」
「ヒヒン」
 ジェニーは嬉しそうに鳴いて応えてだった。
 人参を美味そうに食べた、ステファニーは思わず笑顔になりお菓子を売っている親父のところに戻って話した。
「確かにですね」
「大人しくていい娘だろ」
「はい」
 笑顔で答えた。
「本当に」
「だからな」
「皆が大事にしているんですね、それに」
 ステファニーは街を歩いているジェニーを見つつ言った。
「毛並みもよくて身体つきも」
「しっかりしてるよな」
「はい、飼い主さんにも大事にしてもらってるんですね」
「飼い主さんは乗馬出来ないだけでな」
 それでというのだ。
「馬は好きなんだよ」
「そうですね」
「家族もいないしな」
「一人暮らしですか」
「ああ、子供さん達は独立してな」
「奥さんもですか」
「先立たれてな」 
 そうなってというのだ。
「今はな」
「一人暮らしで」
「一緒に散歩に行ってくれる人もいなくて」
「あの娘だけで、ですね」
「散歩に行かせてるけれどな」 
 それでもというのだ。
「大事にしてるんだよ、ちゃんと身体洗ってブラッシングもな」
「していて」
「ご飯もあげてな、あの子が帰ると」
 家にそうすると、というのだ。
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