暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第86話:軋轢を嗤う者
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は言い過ぎだし取り乱し過ぎている。見兼ねて颯人が響と2人の間に割って入った。
「はいそこまで〜。奏も翼ちゃんも落ち着きなって」
「そん位にしときな。このバカだって分かってやってるんだ」
クリスもそれに便乗して仲裁に入る。翼はそれでとりあえず落ち着きを取り戻したのか、頭を冷やそうと部屋を出て行った。
だが奏は違った。こちらは颯人が間に入ってくると、矛先を颯人に向けてきたのだ。
「何暢気な事言ってるんだッ! 大体颯人、お前も…………!?」
「え、俺? 俺が何?」
まさか自分に矛先が向くとは思っていなかった颯人は、流石に面食らって奏と周囲を交互に見ている。心当たりのある物など誰も居ないので、誰もが奏の言葉に首を傾げていた。
何の事を言ってるんだと颯人が奏を見つめると、奏は頭痛を堪えるようにコメカミを押さえながら颯人から離れて行く。
「おい奏?」
「〜〜〜〜ッ、何でも無い……」
足早に部屋を出て行く奏を、颯人が慌てて追いかける。
「おい奏ッ!」
「……なんだよ?」
「なんだじゃねえよ。お前最近変だぞ? 何かあったのか?」
颯人から見て、最近の奏の様子は明らかに異常だった。世話焼きと言うか面倒見の良さは前から変わらないが、最近は過剰と言うか心配し過ぎている様な気がしてならないのだ。
その事を颯人が問い掛けると、奏は言葉に詰まった。
実は今朝方も、奏は颯人がファントムと化す悪夢に苛まれていた。細部やシチュエーションは異なるが、颯人が己の魔力に内側から殺されファントムが生まれると言う結末は共通した悪夢だ。
似た内容、同じ結末の夢を連続で見た所為で、今の奏は大分ナーバスになっていた。先程響の曖昧な態度に感情を抑えきれなかったのもそれが理由だった。
しかし奏はそれを颯人に打ち明ける事が出来ないでいた。何と言うか、言葉にしたらそれが現実になってしまう様な気がしたからだ。
だから奏は颯人に何も語らず、逃げるように彼から離れようとした。
「――――放っといてくれ」
離れようとする奏を、颯人が手を掴んで引き留めた。今度ばかりは行かせてはいけないと、彼の中の何かが訴えたのだ。
「待てよ奏、待てって――!」
離れて行く奏の肩を颯人が掴んだ。
「いいから放っといてくれ!!」
瞬間、奏の振った手が颯人の頬を思いっきり引っ叩いた。乾いた肌を叩く音が廊下に響く。
「いっ……つぅ」
「あ――!?」
奏の動揺を見るに、颯人の頬を叩いたのは狙った訳ではなく偶然そうなってしまっただけのようだ。颯人自身それは分かっているのかその事に対して文句を言う事はしなかったが、やってしまった奏の方はそうではなかった。
「は、颯人――!? ご、
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