第十四話 新しい道その十二
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「安心してね」
「お家に入ればいいのね」
「それでね。千春ちゃんもね」
「私も?」
「これから。遠慮しなくていいよ」
笑顔でだ。希望は千春に言ってきたのだった。
「僕の家に何時でも来ていいから」
「何時でも?」
「そう、何時でもね」
表情は笑顔のままだ。そのうえでの言葉だった。
「僕の家に来て。そうしてね」
「遊んでいいのね」
「ずっとね。あの家だとね」
今実際に離れているその家はとうかとだ。希望はここでは顔を曇らせて述べた。
「とても。来てなんて言えなかったから」
「いい家じゃなかったから」
「家はそこにあるだけじゃ駄目なんだね」
「人よね」
「うん、どうした人がいるかで家は決まるんだよ」
「じゃあどんなお屋敷でも」
「それでいい家じゃなくなるよね」
希望はわかったのだった。このこともだ。
「人なんだよ。いい人がいれば外観はどんな粗末な家でも」
「立派なお家になるよね」
「そう。なるんだよ」
希望は千春と一緒にリアカーを引きながら前を見る。前を見るその目は澄んでいた。そのうえで遠くを見る、まさにそうした目になっていた。
そしてその目でだ。彼はさらに言った。
「おばちゃん達のお家ってさっきまでのお家に比べて小さいよね」
「そうね。確かにね」
「お庭だってないし」
「あのお家とは全然違うよね」
「けれど。ずっといいお家だよ」
それがだ。今から希望が入る家だというのだ。
「暖かくて優しくてね」
「大叔母さん達がそうだから」
「そう。家は人が作るから」
それ故にだというのだ。
「暖かく優しい家なんだよ」
「そうなるんだね」
「そうしたお家だからね」
千春に顔を向けてだ。今度はこう言った。
「何時でも来て。僕も来てくれたら嬉しいから」
「じゃあ。これからは希望のお家でもね」
「遊ぼう。おばちゃん達も喜んでくれるよ」
「あの人達も喜んでくれるのなら」
「僕も嬉しいから」
お互いに満面の笑みになってだ。そうしてだった。
二人はリアカーをおばちゃん達の家まで引いた。そうしてだ。
おばちゃんとぽぽちゃんの笑顔での出迎えを受けてからだ。荷物を希望の部屋になる二階の部屋に運ぼうとした。だがここで、だった。
そのおばちゃん達がだ。パソコンを運ぶ希望にこう言ってきた。
「はこぼか?」
「あっ、いいよ」
おばちゃん達の好意に明るい、子供が親に見せる笑顔でだ。希望は答えた。
「僕達が運ぶから」
「ええのか?」
「そやったら私等お菓子食べとくで」
「いや、お菓子は置いておいてよ」
二人の言葉にだ。希望は笑って返す。
「僕達も後で
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