ガンナーのマスター
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供します。刀使なんですよね? 暗殺でも戦闘不能でも容易くなるでしょう。悪い話ではないと思いますけど」
「……」
可奈美はきっと口を結んだ。
「私はいいけど……でも、それって、なんで?」
「死にたくないからよ」
その答えは、リゲルからだった。参戦派の彼女だが、どうやらそこだけは同意しているようだった。
「死にたくないから、あらゆる手段を使う。それっていけないこと?」
「そうじゃないけど……」
可奈美は迷った。
「聖杯戦争に参加したくないなら、私は鈴音ちゃんのことを守るよ。でも、情報のこととかは……少し、相談させてくれないかな? 私一人で決めていいことなのか、わからないから」
「そうですか……」
鈴音は残念そうに項垂れた。
「ですが、少なくともあなたたちは、私と敵対はしないことだけは確信が持てました。それだけでも十分な収穫です」
鈴音はそう言って、席を発とうとした。だが、丁度そのタイミングで、店の奥よりチノが姿を現す。
「なんの騒ぎですか……可奈美さん?」
チノは鈴音の姿に気付き、慌てて可奈美へ声を投げる。
「か、可奈美さん! お客様がいるなら、オーダー取ってください!」
「あ、そうだった!」
聖杯戦争の参加者ということ以前に、今の自分がウェイトレスだということを思い出す。
可奈美は慌てて、伝票を手に「ご注文は?」と尋ねた。
だが、リゲルは首を振る。
「今回はこの前の礼に来ただけよ。ウィザードがいないし、出直すからいいわ。帰るわよ。マスター」
「ホットココアを二つお願いします」
「はあ!?」
オーダーをする鈴音に、リゲルは目を見開いた。
すると、鈴音は頬杖をついた。
「喫茶店に来ておいて、店員を捕まえて何も頼まないのは流石にまずいですよ」
「アンタ、そんなんだから毎日家計が押されてるんじゃない……! あの大量のモニターとか必要ないでしょ!」
「情報を集めるには、目は多い方がいいんです。ハッキングで多くのカメラを手中に入れる必要があるので、欠かせません」
「だからアンタの食費が毎回貧相になってんじゃない!」
「うまい棒があれば十分です」
可奈美は耳に聞こえる彼女たちの家計事情に冷や汗をかきながら、チノが用意したコップにココアを入れる。
チノはその作業を見守りながら、可奈美に耳打ちする。
「可奈美さん、知り合いですか?」
「知り合いっていうか……」
直接の面識はない。だが、あるとすれば。
聖杯戦争の参加者同士で、初対面の相手ではあるけど殺し合わなくちゃいけない関係。
「だなんて言えるわけないよ!」
「熱っ!」
「ああ、ごめん!」
可奈美がポッドを持つ手が思わず跳
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