第十話 アルバイトその十一
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「幾らでも遊べるとかえってね」
「遊べないの」
「というか遊んでもね」
それでもとだ、愛は話した。
「面白くないのよ」
「忙しい中で遊ぶからいいのね」
「そうよ、じゃあね」
「これからは」
「沢山遊びましょう」
こう言うのだった。
「いいわね」
「ええ、それじゃあね」
咲も応えた。
「二人で遊びましょう、あとパジャマパーティーもね」
「そっちもなのね」
「楽しみましょう」
「それじゃあね」
咲も頷いた、そうしてだった。
電話を切った、その後で咲は母に言った。
「お姉ちゃんともお話したわ」
「そうなの」
「それでアルバイトのこと以外にもね」
母にあっさりとした口調で話した。
「色々教えてもらったわ」
「そうなのね」
「それで今度一緒に遊ぶこともね」
母にこのことも話した。
「決めたから」
「何処で遊ぶの?」
「渋谷でね。道玄坂のお店に行こうってね」
「お話したの」
「そうだったの」
「まあ愛ちゃんのファッションをしないならね」
それならとだ、母は娘に話した。
「いいわ」
「それは駄目なのね」
「あんな派手なのはね」
「私そうした趣味はないけれど」
「これからも持たないの。流石に派手過ぎるから」
愛のそれはというのだ。
「だからそれはね」
「参考にしないで」
「普通にね」
「遊んだらいいの」
「そうしたらね、じゃあモコと遊ぶ時間だから」
母はその愛犬を見つつ言った。
「一緒に遊ぶ?」
「ああ、もうそんな時間なの」
「ええ、モコおいで」
「ワンワン」
モコは母の言葉に応えてケージの外に出て来た、そうして母の傍に尻尾を振ってきたが。
咲はそのモコを見てこんなことを言った。
「若しもね」
「どうしたの?」
「いや、モコがいなくなったらってね」
こう母に言った。
「どうなるかしらってね」
「今は考えられないわね」
母はこう答えた。
「ちょっとね」
「モコがいなくなるなんて」
「ええ、お父さんもお母さんもいてね」
「私もいて」
「そしてモコもいて」
そうしてというのだ。
「家族でしょ」
「そうよね」
「四人でね」
「モコは犬だけれどね」
「種族は違っても家族よ」
このことは変わらないというのだ。
「だからね」
「モコがいなくなるなんて」
「想像も出来ないわ」
「家族だから」
「そう、家族がいなくなるなんて」
こんなことはというのだ。
「とてもね」
「そうよね。私もね」
モコの頭を撫でつつ言う、咲に頭を撫でられてモコは短い尻尾を左右に激しく振って喜びを見せている。
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