第十話 アルバイトその七
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「私にね」
「聞けばいいの」
「そうした時は教えるから」
「そうしてくれるの」
「知ってる限りのことはね」
「じゃあ頼りにしてるわね」
「ええ、じゃあ渋谷でのアルバイト頑張ってね。占い師さんのお店だけれど」
愛はこのことも言った。
「そうよね」
「ええ、速水さんって人のね」
「速水さんね。私も聞いてるわよ」
「知ってるの」
「タロット占いでね。雑誌で見たことあるから」
速水、彼のことをというのだ。
「雑誌の占いのページを担当されてて」
「雑誌でよくあるわね」
「黒髪で左目を隠した凄い美形の人よね」
「若いね」
「青いスーツの」
「そうよね、何かあまりにも凄い美形で」
愛電話の向こうの咲にこうも言った。
「驚いたわ。ただどうした人か知らないから」
「注意した方がいいの」
「男の人とはあまり二人きりにならないことよ」
「誰でもなの」
「そう、誰でもね」
このことを言うのだった。
「それこそ心を許さない限りは」
「二人きりにならないの」
「そこは注意してね」
「速水さん紳士だけれど」
「普段は紳士でも本性ってあるでしょ」
「いきなりそれを出して」
「襲って来るってこともあるから。私は注意してるからね」
それでというのだ。
「そうした目に遭ったことはないけれど」
「それでもなの」
「注意していてね」
「速水さんでもなのね」
「家族でも危ないのよ」
「まさか」
「叔父さんはそういうのないけれど」
咲の父はというのだ、愛も彼についてはそうしたことは一切ないとわかっていてそれで言うのだった。
「家族でもよ」
「注意しないといけないの」
「そう、だからどんな男の人にも」
「注意して二人きりにはなのね」
「あまりならないことよ」
このことは控えろというのだ。
「いいわね」
「わかったわ、そうするわ」
咲も頷いて応えた。
「速水さんにもね」
「そうしてね」
「用心は必要ね」
「誰でもね、本当に心を許さないと」
それでもというのだ。
「駄目よ」
「家族でも」
「そうしたことは注意よ」
「心を許していないと」
「そう。叔父さんは大丈夫だけれどね」
「お父さんは絶対にないわね」
咲もその通りだと思って愛に返した。
「本当に」
「けれど家の中でもね」
「そうしたことがあるから」
「用心は必要よ。だから警棒やスタンガンもね」
「いつも持っていることね」
「そうしておいてね、じゃあアルバイトもね」
愛は咲にまたこう言った。
「頑張ってね」
「そうするわね」
「そして楽しい高校生活送ってね」
「これからね」
「失恋しても」
若しそうなってもとだ、愛はこのことも話した。
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