第十四話 新しい道その十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
母親はいたが挨拶はしなかった。素通りだった。
向こうも挨拶をしない。その彼女を見てだった。そうして言うのだった。
「本当にね。これで終わりだけれどね」
「あの人希望のこと何とも思ってないよ」
「僕もそうなったよ」
希望自身もだ。そうだというのだ。
「もうどうでもいいよ」
「じゃあお別れの挨拶をしなくても」
「いいよ」
家の階段を二人で登りながらだ。希望は千春に話す。千春は彼の後ろについてきている。
そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「それじゃあ今からね」
「荷物運びましょう」
二人は階段を登り終えそこから二階の希望の部屋に入った。そこにはだ。
今朝まであったベッドや本棚、それに机も椅子もなかった。あるのはだ。
本とCDプレイヤー、ゲーム機にパソコンといったものだ。そういったものを見てだ。千春は優しい笑顔になってだ。そのうえで希望に話した。
「じゃあね」
「一回で済むんだね」
「そうだよ。どうしてかっていうとね」
「うん、それはどうしてなの?」
「玄関に行けばわかるよ」
「玄関?」
「そう、玄関にね」
今いるこの家のだ。そこにだというのだ。
「行けばわかるよ。荷物を持って行ってね」
「玄関だね」
「そう、このお家の玄関だよ」
希望が出て行くだ。その家のだというのだ。
「そこに行こう」
「わかったよ。じゃあ荷物を持って」
こうしてだ。実際にその残っていたパソコンや本を持って玄関に来るとそこには。
リアカーがあった。その木と鉄の車を見てだ。希望は言った。
「何でリアカーが?」
「千春が用意してたの」
千春は希望の横からにこりと笑って答えてきた。
「そうしてたの」
「けれど千春ちゃん今まで」
「お家の人が持って来てくれたんだよ」
「千春ちゃんのお家の?」
「そう。お引越しが今日なのはわかってたから」
それでだというのだ。
「持って来てもらってたの」
「そうだったんだ」
「もうその人は帰ったよ」
リアカーを持って来ただ。その人はだというのだ。
「だから希望と千春でね」
「このリアカーに荷物を入れて」
「大叔母さん達のお家にまで持って行こうね」
「そうだね。これを使えばね」
「一度で済むよね」
千春はそこまでだ。希望に話すのだった。
「だからね」
「有り難う、千春ちゃん」
希望は千春の心遣いに素直に感謝した。確かにどうしてリアカーがここまで急に届いたのか、そして運んでくれた人は誰で何処に行ったのかはわからなかった。だがそれでもだ。
希望は千春の行為に感謝した。そしてだった。
残っていた荷物を全部リアカーに入
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ