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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(6)~タバル・ヒルの戦い(前)〜
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なったら攻撃あるのみだ。
 中隊長は装甲服に内蔵された通信機へうなる。
Membres de l'entreprise (親愛なる中隊の諸君), v?rifiez la ba?onnette !(突撃の覚悟を決めろ!!)

 中隊長に兵隊は負けじと返す。
「Pr?t ? charger !」(突撃準備完了!)
 小銃の先にきらめくのは――炭素クリスタルの銃剣である。アスターテ海兵の伝統こそは銃剣突撃、彼らは接弦戦闘においてゼッフル粒子を使わせず、あるいは使われようとも必要とあらば専門の白兵戦部隊と肩を並べて突撃をする。コロニー船が接舷を受けた場合、彼らが退いた時は即ちコロニー船が滅ぶときである。

 中隊長は立ち上がり、片手を振り上げた。
「Lancez l'charge ! Vive la Astarte !」(突撃を開始せよ!アスターテ万歳!)
 腕を、振り下ろす。
「Vive la Astarte !!」「Vive la Astarte !!」
 蛮声は通信波となり、敵の受信装置に介入した。

 貴族のピクニックはその瞬間、野蛮な戦地へと叩き落とされた。
 装甲服の性能に物を言わせ、崖を飛び降り、強襲する海兵コマンド部隊。
 悲鳴を上げる兵、兵を怒鳴りつける下士官、棒立ちで激を飛ばそうとして射殺される若手将校――素人臭い、というより素人なのだ。本質的に”船乗り”更に言えば海賊退治やセレモニーで住民に貴族の権威を示す為の艦にのる将兵である。

 そして貴族領において宇宙船の操作を許されたものはその時点で農奴よりも知識や教養があると見做された――つまり地上軍の兵士を下にみていたのだ。
 その差別は貴族たちにとっても都合がよく当然のように利用する。封建国家にとって差別ほど便利なものはない。

「いっ嫌だ!!こんなところで死にたくない!!!」
 兵が将校を突き飛ばし、逃げようとするが下士官が即座に射殺する。

 本来であればゼッフル粒子の散布がなされた時点で士気を喪失する可能性すらあったかもしれない。

 クレーベルは敵を高く評価しすぎていた――そもそも敵の行動意図を誤解していたのだから致し方ないが。


「じょ、冗談ではない!こんなところで叛徒に殺されてたまるものかよ!」
 同じように音を上げたのはゴルツ男爵であった。だが彼はまだ理性的だった。
すでに前衛を救うことは叶わないと判断していたからこそであった。
「私の艦隊が!艦隊がこんなところで壊されてなるものか!部隊を集結させろ!退くぞ!撤退だぁ!!!」
 幕僚たちは少なくとも自分たちを救う判断をした”御領主様”の下命を軍事的合理性に則った指揮へと”翻訳”し実行させる。





「ゴルツ男爵の雷撃戦隊臨時陸戦大隊
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