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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(6)~タバル・ヒルの戦い(前)〜
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だが忘れないでもらいたいが“貴族領軍は貴族の私有財産”なのだ。
そして彼らは“カイザーの老友の出陣”という“出征こそが武勲”という甘い餌に釣られた“門閥からも官閥からも弾かれた非主流派貴族”である。
軍の価値は門閥貴族とすら違う、具体的に言うと『補充する金がなくなれば難癖をつけられて領土を削られかねない』のだ。海賊と傭兵の区別は門閥貴族や官吏が司法にばら撒いた餌の数でその都度変わるものである。
貴族とは思えない?門閥に入れない不採算領地を押し付けられた貴族などこんなものである。
そして航空部隊も対空砲をそろえた旅団主力の張り付く陣地と自軍の航空隊のおかげでこちらにはさほどの数は回ってきていない。
――一個艦隊の部隊ならもっと数を割くのでは?
クレーベルは訝しむが少なくとも今の優勢に乗るしか方法がないのも事実だ。
かくして帝国軍は“下がるに下がれない”ゴルツ男爵の前衛隊、中衛で怒鳴り散らすラサン男爵の重火力連隊(大隊)、そして後衛のゴルツ男爵の本隊、と分断されてしまった。されて、と言っても同盟軍は常道の防衛戦を仕掛けているだけなのだが。
むしろ貴族の”御当主”を矢玉の飛び交う現実に晒したくない側近達の判断も常識的と言えるかもしれない。
そしてそれを見逃さないのがアスターテ海兵コマンドである。
「よしよし、それでは我が隊は、敵中衛と後衛を粉砕する!」
”ヴォルティジュール”第一中隊長は意気軒昂である。無理もない、彼らはコロニー艦住民の最後の壁であり、その訓練にはあらゆる努力を払っているが実戦経験は多くはない。だが彼らはいま構成邦外交の一つの成果として表舞台に立っている。
「中隊諸君、各小隊長の射撃に続け、我々は第二中隊の支援を受けつつ突撃し、敵本部を強襲する、つまり俺たちは貴族のケツに穴を増やしてやるわけだ」
中隊の兵達が笑いをかみ殺す、成すべきことは自分たちの復讐でもある、本土を失い、私掠におびえ、避難民たちを後方へ運ぶ船団国家の住民たちの復讐だ。
「今回はゼッフル粒子散布弾は使用しない、原則として各員の測定器に反応しない限り――即ち敵部隊が白兵戦に対応する場合以外は突入後も射撃を許可する」
中隊長は兵隊へ手で示す。
「諸君!アスターテ海兵隊の伝統をイゼルローンの強盗共に教育して差し上げよう!」
彼らが隠れて見下ろすのは隘路で立往生している重火力大隊、碌に警戒もせず幾度も伝令を送っているのが見える。
「
Tirer
(
撃て
)
!!」
90の光条が不運な将兵に突き刺さる。一度、二度、三度。
後方でも悲鳴が上がる。第二中隊も攻撃を開始したのだと知った。
いいぞいいぞ。例えこの後くたばるのであれ、俺達は間抜けとして死ぬわけではなくなった、畜生、こう
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