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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(6)~タバル・ヒルの戦い(前)〜
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戦を挑んでくる以上は我々のなすべきことは明白です、わからせてやりましょう』

 クレーベルが不敵な笑みを浮かべる。
 

「軍旗を掲げよ!!銅鑼を鳴らせ!!!」






 ヘルマン・フォン・リューネブルクはまったくもって想像を超えた事態に陥っていた。
「敵の軍旗を確認!!!同盟地上軍旗に‥‥”正墨旗”!!」

「正墨旗!?」
 仮設ではあるが気密された司令部は外と異なり顔を晒すことができる。とはいえ状況次第では真空でも活動できる装甲服を身にまとったままであるが。
「なんだと!?あの”狂信者共”か!?」
 帝国軍常備地上軍が経験する「実戦」はほぼ侵攻作戦であるむろん、回廊内部の係争星における戦闘もあるがほぼ実態は叛徒(自由惑星同盟のみならず)の居住星への侵攻が最大の花形であり”役得”でもある……ルドルフによる“実力主義貴族による封建制”の導入は“不採算地域”の切り捨てを私掠により誤魔化す為という学説もある。

 そして交戦星域はその伝統による最大の被害者であり、氏素性も怪しげな諸邦は自由惑星同盟の中においても地域主義による政治・軍事的結束を求められてきた。
 大夏天民国の非攻は専守防衛に特化した派兵へと移り代わり、侵略者に対する宗教的情熱へと変化していった。

「これは面倒なことになるぞ……」
 同盟軍として軍歴を積んできた リューネブルクは彼らの面倒さを知悉している。

「だが数は多くて1万、いや、さらに少ない、押し切れるだろうさ」
 
「陣地突破に必要なのは数ではない……質と士気だ。重火力隊を全面に展開しろ、エルビング男爵、諸侯軍を前衛に出せ!一番槍の栄誉を競わせてやれ」

 控えていた参謀がエルビングに視線を向けつつリューネブルクに具申した。
「それと、あの側道に重火力陣地を」
  峠の開けた場所に重火力陣地を築城すれば主攻正面を射程に入れる事ができる。

 だがリューネブルクは眉を顰めて彼の指す地点を睨む。
「なにも備えがされていない“ように見える”だけだ。都合が良すぎる状況は疑うべきだ」

 参謀はその指摘には怯まなかった。彼も逆亡命者であった。
「はい、閣下。ですがやるしかありません!
ここで虎の子の装甲擲弾兵師団を消耗させては基地主力の陣地で…!」

 参謀の言は焦燥の気はあれど冷徹な思考に裏打ちされていた。つまりは、”基地を陥落させれば非主流派貴族の使いつぶしはどうとでもなる、罠であれば奴らを投入して暴くべし”と言いたいのだ。
 正論ではあるが――

「男爵」

 エルビング男爵はしれっと珈琲にウイスキーを垂らしながら答える。
「深入りはしたくないですなぁ、一個連隊規模を派遣しておきましょうかね」
 どうです?とエルビングが目を向けるとリュ
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