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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(6)~タバル・ヒルの戦い(前)〜
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危機にあった【コルネリアスの大親征】において元帥杖が一本ヴァンフリート星系で折れる事となったのも自然なことである。
後方鎮定を任せられあれこれと手勢を引き抜かれたゴードン元帥にどの程度の割合で敗戦の咎を負わせるべきかは判断が分かれるところだ。
だがいずれにせよティアマトやらアスターテやらから集まった敗残兵と避難民たちによる義勇軍、そして敗走後ラウーフ中将(最終攻勢時には元帥へ昇進)の下に再集結した同盟軍正規艦隊は修繕と再編を済ませており、機を逸した――大親征失敗が決定した後の処断を恐れたが故の――最終攻勢はゴードン元帥の戦死で幕を閉じた。
そして破壊された戦闘艦は軍籍をヴァンフリートの小惑星帯デブリへと移し、惑星・衛星は多数の爆撃痕を残した。
ヴァンフリート建国史上唯一の本土決戦の痕跡は今でも残っており――4=2基地は戦闘で荒廃した衛星を十、更には過去のデータを十二分に活用したヴァンフリート工兵の協力の下で造られているのだ。
「軍を二つに分け、分進合撃の形態を取ります。グリンメルスハウゼン艦隊臨時陸戦軍司令官は小官のまま小官が直卒する軍を集成第一軍と、ミューゼル副司令官が指揮を執る軍を集成第二軍と呼称」
「それぞれの軍において皆様の所領軍についてですが――運用を統括する副司令官を集成軍司令官と別に置きたいと思います。
第一軍はエルビング男爵閣下、第二軍はフランダン伯爵閣下に諸侯軍の運用統括をお願いいたします」
諸侯――といってもリヒテンラーデにもカストロプやブラウンシュヴァイク、リッテンハイムら有力派閥にも相手にされない非主流派であるが――は挙げられた名にざわめく。
フランダン伯爵はよい、だがエルビング男爵!”接弦男爵”だと!?
”古き良き”帝国貴族と呼ぶ者もいる。或いは悍ましい貴族崩れの海賊と呼ぶ者もいる。つまるところ”実力派”であり皇帝や貴族閨閥に頼らず『戦斧と揚陸艦一隻』からアッシュビーに当主であった父を消し飛ばされ、傾いた家産を立て直した男だ。
そう、つまりは――
「叛徒相手の略奪で富を築いた男が副将か、いよいよリューネブルクに相応しかろうよ」
バーデニーズ子爵が鼻を鳴らす。
「あん?」
「エッ?」
「やっドーモ、ドーモ、エルビングです、バーデニーズ子爵閣下」
のっそりと叫ぶ子爵の背後に立つのは偉丈夫の初老の男。
由緒正しき男爵家当主でありルドルフ大帝時代より軍将校として代々皇帝に仕えてきた、男爵家としての家格は高い、だが――
「ヒッ!?ひ、控えろ!」
その手は細かな傷がついた分厚い自身の皮でおおわれている。社交界で過ごす貴族のそれではない、その指が太く、黒衣の軍服を纏った柔らかな子爵の肩に食い込む。
「まぁまぁおかけになって、下さいや。子爵閣下、ビ
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