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歪んだ世界の中で
第十四話 新しい道その八
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 それを認めたくなくだ。今こう言っていたのだった。だが、だ。
 二人が自分達の、希望と同じクラスの後ろの扉のすぐ傍でそう話しているとだ。たまたまそこに真人が通り掛かった。そして彼はこう言ったのだった。
「遠井君は貴女達なんかに釣り合う人ではないですよ」
「何よ、あんたあいつも友達だからでしょ」
「だからそう言うんでしょ」
「違いますよ」
「違う?」
「違うっていうの?」
「確かに僕は遠井君の友達です」
 このことはだ。真人自身も認めた。否定することではないからだ。
「心からの親友です」
「だから庇ってるんでしょ」
「あいつが凄い奴だって嘘を吐いてるんでしょ」
「僕は遠井君と幼稚園の頃から一緒でした」
 そこまでのだ。深く長い付き合いだというのだ。
 そしてその絆からだ。彼は言うのだった。
「その頃から彼は非常にいい人でした」
「性格が?」
「性格がだっていうの?」
「そうです」
 まさにだ。そうだというのだ。
「遠井君の様に心根がいい人は滅多にいません」
「けれどデブだったじゃない」
「しかも馬鹿だったじゃない」
 ドアの向こう側にいる真人にだ。二人はこう返した。実に忌々しげなその顔で。
「何の取り柄もないね」
「ださい奴だったじゃない」
「外見や学校の成績は些細なことです」
 あくまでだ。真人は二人に対して毅然として告げる。
「貴女達は遠井君の心を見ていませんでしたね」
「だからだっていうの?」
「私達が駄目だっていうの?」
「はい、遠井君に相応しい方々ではなかったのですよ」
 完全にだ。野田と永田をそう言い捨てていた。それが今の真人だった。
「所詮は」
「あいつに相応しくないって」
「ゴミみたいに言ってくれるわね」
「それは貴女達が遠井君に言っていたことですね
 実際にだ。希望はゴミ呼ばわりもされてきていた。
「しかし。貴女達はそのゴミと呼んでいたです」
「あいつよりずっと下だっていうのね」
「ゴミ以下だって」
「僕はそんなことは言いません。ですが」
 それでもだというのだ。
「貴女達の性格は。最低だと思います」
「言ってくれるわね、本当に」
「性格最低だの何だの」
「人を外見でしか判断できない」
 希望には絶対に見せない冷たさをだ。真人は今二人に見せていた。
 そしてそのうえでだ。さらに言うのだった。
「そうした人ことをです」
「最低っていうのね」
「だからこそっていうのね」
「そうです。しかも貴女達はです」
 二人がこれまで希望にしてきたことを思い出しそのうえで内心憤りを感じていた。だがそれでもそれを抑えながらだ。真人は言っていくのだった
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