銀から赤へ
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すると、地面から突風が吹き荒れる。やがて赤土色の成分が混じったそれは竜巻となり、赤の動きに呼応しながらスプリガンを襲う。
「な、何だこれは!?」
スプリガンは盾で防御しようとする。だが、風という形のない攻撃に対し、盾は無力だった。吹き飛んだ盾を見送りながら、スプリガンの体はネジのように赤土へ下半身を埋まらせていった。
「う、動けない……」
さらに、それは赤に対して完全なる無防備だった。
例え動作の大きい動きにしても、スプリガンに抵抗の術がないことを意味していた。
赤は、左手を、次に右手を腰の前に突き出す。交差させた両手から、電子のような光が溢れた。
両腕の間に走る電撃を走らせたまま、肩の高さまで持ち上げる。
次に、赤はその両腕を伸ばし、高く掲げた。両腕に走る電光が、これまでとは比にならないほどの光量となる。
人間なら、直視できない光量。それを両腕に集約させた赤は、両腕をL字に組んだポーズをする。すると、その縦にした部分より、眩いほどの光のエネルギーが発射された。
「ま、まずい!」
防御を最優先と判断したのであろう。スプリガンは、再生成した盾を使い、それを防ごうとした。
光線が盾に命中。だが、連続的な光の前では盾など役に立たず、即座に崩壊、光の奔流はスプリガンに炸裂、そのまま貫通した。
「がはっ!」
体を貫かれたスプリガンの体は、徐々に青くなっていく。
やがて、体の力が抜けたスプリガンは、そのまま倒れ、爆発。赤土色の空間の中で、分子の一つさえも残さずに消滅していった。
空間が波打つ。
「今度はなんだ!?」
超自然的な現象に、ハルトは身構える。
やがて、垂直になった水面のように、空間は破裂。
その中から、例の赤い人影が現れた。
「……」
ハルトは少し黙って見つめていたが、やがて赤がこちらに視線を合わせたため、彼に駆け寄る。
「ふぁ、ファントムは?」
その問に対し、彼は静かに頷くだけだった。
ハルトは唇をきっと結び、さらに問い詰める。
「アンタ、一体何者なんだ? まさか……」
ハルトは彼の肩を掴む。
「聖杯戦争の、参加者なのか!?」
だが、赤はそれには答えない。ハルトの手を取り払い、空を見上げる。
そして。
「ま、待て!」
赤はそのまま、両手を真っすぐ伸ばして空へ飛んでいった。
戦闘機もかくやというスピード。あっという間に空の点となり、見えなくなった赤を睨み、ハルトはため息をついた。
「アイツ……一体何者なんだ?」
だが、そんなハルトの気を引いたのは、近くの物音だった。
見れば、そっちには、見覚えのある少女の姿があった。
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