第二章
[8]前話
「宜しくお願いします」
「丁度家族で犬を飼いたいと話していましたし、じゃあ名前はレクレクにします」
名前も決めた。
「見たら雄でそんな名前を思いついたので」
「だからですか」
「この名前にします。じゃあレクレクこれからはずっと一緒だよ」
「ワンッ」
レクレクはかいぬしになった彼に笑顔で応えた、そしてだった。
スリランカにいる間彼等ともタイから来た団体のスタッフとも交流し楽しい時間を過ごした。そのうえで笑顔で帰国した。
そしてギリシアのアテネのマラソンに出た後でゴビと一緒にアテネの街を歩いていると。
民家の前でかなりの量のドッグフードを食べている白地に黒の模様がある垂れ耳の中型犬を見た、その食べっぷりに感心して見ていると。
長い黒髪で睫毛の長い黒い目で見事なスタイルの女性が家から中年の女性と出て来て彼に声をかけてきた。
「食欲旺盛でしょ」
「凄いね」
ディオナルドは黒髪の女性に笑顔で応えた。
「この子は」
「雄でバンディットっていうの。私が保護したの」
「貴女がなんだ」
「ヴァリア=オルファニドゥというの、ボランティアで動物の保護活動をしていてね」
「この子を保護したんだ」
「そうなの、車の運転中に後ろから必死に駆けて来るのをバックミラーで見て」
そうしてというのだ。
「保護したの、そうしたら後部座席で嬉しそうにしていたの」
「それで私がお家に迎えたの」
中年女性も言ってきた。
「ヴァリアからお話を聞いてね」
「そうなんだ」
「毎日こうなのよ」
女性は今もドッグフードを嬉しそうに食べるバンディットを見つつ話した。
「だからね」
「ご飯をだね」
「三食あげているわ」
「ワンワン」
「ギリシアは野良犬が多いけれど」
ヴァリアは飼い主に顔を向けて尻尾を振ったバンディットを見つつディオナルドに話した。それも笑顔で。
「少しずつでもね」
「保護してだね」
「助けていくわ」
「そうだね、それじゃあね」
「これからも」
「助けていくわ」
こう言ってそうしてだった。
ヴァリアはディオナルドにバンディットのことをさらに話していった、ディオナルドはその話を熱心に聞いた。そして。
彼等と笑顔で別れてからゴビと一緒に歩きながら彼女に言った。
「巡り合えた幸せを大事にして可哀想な境遇なら助けないといけないよな」
「ワンッ」
ゴビは自分に語り掛けたディオナルドに顔を向けてその通りという様に鳴いた、その彼女を見てだった。
ディオナルドは笑顔になった、そうして共にアテネで観光を楽しみスコットランドに帰った。スコットランドに帰った彼等がまた大会か旅に出ようと話した。
一緒に走った子犬と共に 完
2021・6・25
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