第二章
[8]前話
「よし、一安心だな」
「後は救助隊を待つか」
「救助隊が助けてくれる」
「そうしたら安心だ」
「後は野良犬だし飼い主を探してもらおう」
ここまで話をした、そのうえで。
状況を見守っていった、やがて犬はさらに落ち着いて。
自分を見下ろす人達を見上げたりもした、その目は実に奇麗だった。人々はその目も見て落ち着いた。
そして救助隊が来た、彼等は水路を見るとすぐにワした。
「これは普通の梯子じゃ無理だ」
「すぐに造ろう」
「それで降りよう」
「そうして保護しよう」
こう話して即席の梯子を造って水路に降りた、そのうえで。
大きなケースも持って来て犬を一旦捕まえてその中に入れた。
「大丈夫だぞ」
「もう安心していいぞ」
「ここから出られるからな」
「クゥ〜〜〜ン」
犬は抵抗しなかった、そうしてだった。
逃げもしないで救助隊員に一旦抱えられてケースの中に入れられた、ケースはゆっくりと引き上げられていき。
救助隊員達も梯子を昇って水路から出た、犬は施設に入って救助された経緯と共に里親を募集されて。
程なくして話を聞いた心ある人が施設に来てその犬を見て言った。
「僕でよかったら」
「家族に迎えてくれますか」
「そうしてくれますか」
「そうさせて下さい」
施設のスタッフ達に犬を見ながら話した。
「よかったら」
「わかりました、では」
「宜しくお願いします」
「水路のこと以外にも何かとあったらしいんで」
「幸せにして下さい」
「絶対に、雌だからビッキーにします」
名前も決めた。
「それで今から」
「はい、幸せにしてあげて下さいね」
「辛い過去の分」
「必ず、じゃあビッキー行こう」
「ワン」
ビッキーと名付けられた犬は彼を見てすぐに目をきらきらさせてだった。
尻尾をぱたぱたと振った、そうして。
彼を家に連れて帰った、その後でスタッフ達は飼い主になった彼とビッキーが遊ぶ動画をメールで送られた、そこにいる彼女は。
「もう水路にいた時の彼女じゃないですね」
「そうですね」
「毛並みもよくて太って」
「目もきらきらとして怯えていなくて」
「とても生き生きとしています」
「本当に幸せそうです」
楽しそうに駆け回って尻尾を振る彼女を見て話した、飼い主を信頼して心から読頃んでいる彼女は幸せの中にいた。もう水路の中にはいなかった。
水路からの救出 完
2021・6・24
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