第110話 遼西の雄 前編
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頓は私に降伏内容を求めてきました。
追って沙汰するでは内容がどうなるか分かりません。
「お前達の望む降伏条件を言ってみるがいい」
「我らが望みは今までの罪を免じていただきたく存じます。その代わりに劉将軍に成り代わり、遼東の蘇僕延を誅殺してご覧に入れます」
頓は私に虫の良い降伏条件を願い出てきました。
確かに幽州の東端である遼東郡まで遠征するのは骨が折れることです。
しかし、遼東郡を手中に治めることがこの私の目的です。
ですが、丘力居が私の幕下に加わるというなら話は変わります。
彼女を遼東の蘇僕延を見事討ち取れば、遼東郡の大守に任じてもいいです。
彼の地は遠い私の配下を置かずとも私と良好な関係を築ける人物なら誰でも構いません。
「そのことは信用できるのか?」
「必ずや劉将軍のご期待に叶う働きをしてごらんにみせます」
私は冥琳を見つめると彼女は口を開きました。
「頓と申したな。その話は信用できぬな。そもそもお前が丘力居の従姉妹であるかも信じるに値しない。お前の言葉のみでは信頼に足りぬ。遼西の烏桓族の今までの罪を全て免じろという無茶な要求をするのだ。それ相応の証を立てよ」
冥琳は厳しい表情で頓を睨みつけました。
「ご信用いただけぬのは承知のことです。この条件をお飲みいただければ、我が主が右北平の国境を越え、劉将軍の御前にまかり越します」
頓は冥琳の睨みなど意に介さず、冷静に受け答えました。
「右北平の国境を越えるだと・・・・・・。真逆、丘力居は既に郡の近くに居るのか?」
私だけでなく冥琳も驚きを隠さない表情で頓を見ました。
「はい、我が主は劉将軍に恭順の意を示しましたが、降伏の条件をお飲みいただくことが叶わねば、仮に負けようとも一線交えて死ぬ覚悟でございます」
頓は私に淡々と言いました。
「私を脅迫するつもりか?」
私は冷徹な視線を向けました。
右北平の国境ということは郡とは目と鼻の先です。
私との降伏交渉が破談した場合、私が白蓮達と合流を果たす前に白蓮達を急襲するつもりでしょう。
勝率を上げるために兵力に劣る白蓮達を襲撃するのが上策です。
ただ、丘力居も無傷では済まないでしょう。
失敗すれば、援軍として駆けつけた私達に叩き潰され、難楼と同じ憂き目に遭います。
丘力居の抜け目なさと大胆さに私は歯噛みしました。
「そのような気は毛頭ございませ
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