第六百十八話 チョコレートも食べてその九
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「当然です、ただ」
「ただ?」
「連合の方は確かにそれぞれの匂いがしますが」
ここでセーラはこうも言った。
「しかしそれぞれの国の人によって」
「匂いが違うんだ」
「貴方はベトナムの方ですね」
その生徒ににこりと笑って述べた。
「そうですね」
「そうだよ」
その通りだとだ、生徒もにこりと笑って答えた。屈託のないその笑顔は真実を語っているものであった。
「わかるんだ」
「コリアンダーとナムプラーの匂いが強いので」
様々な調味料や香辛料、香草の匂いの中でというのだ。
「ですから」
「ああ、ベトナム料理はね」
生徒はセーラにその屈託のない笑顔で応えた。
「その二つをよく使うから」
「左様ですね」
「だからだね」
「ベトナムの方はです」
「その二つの匂いが強いね」
「はい、タイの方ですとコリアンダーに」
これに加えてというのだ。
「唐辛子です」
「あの国はそうだね」
「そして同じにされると」
「ああ、実は我が国とタイはね」
生徒はセーラに少し真面目な顔で話した。
「お互いも他の国も言わないけれど」
「あえてですね」
「実は結構ね」
「仲が、ですね」
「そうなんだ」
最後まで言わないが途中まで言えばわかるので最後までは言わなかった、この辺りも考えてのやり取りだった。
「だから直接国益が衝突してね」
「対立するとですね」
「結構激しくやり合うんだ」
「左様ですね」
「我が国とタイはね」
「そうした間柄ですね」
「昔からなんだ」
ベトナムとタイの関係はというのだ。
「お互い言わなくて周りもだけれど」
「そうした間柄ですね」
「そうなんだ、だから同じ体臭と言われても」
「少しですね」
「気になるよ」
そうだというのだ。
「相手とは違うって思ってね」
「それはこだわりですね」
「うん、タイ料理にも対抗意識あるし」
「どちらのお料理も有名ですね」
連合の中ではメジャーな方である、どちらも。
「それで、ですね」
「お料理でも対抗意識があってね」
「匂いもですね」
「やっぱりタイ人と同じじゃないし」
「そう言われるとですね」
「少し思うよ」
「左様ですね」
「うん、ただ普段は何もないから」
国益が衝突する以外ではというのだ。
「お互いつっかからないし」
「そのことはいいですね」
「国益にならないことで喧嘩してもね」
「意味はないですね」
「疲れるだけだよ」
対立するにもエネルギーが必要だ、それが激しければ激しい程だ。
「そうだからね」
「無駄に労力は使わないですね」
「連合は色々やることが多いし」
「内政に外交に」
「色々ね」
「そうです、対立をしても」
セーラは達観した声で述べた。
「よくありませ
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