第十四話 新しい道その一
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テストは終わった。それは一瞬だった。そしてだ。
暫くしてその結果も返ってきた。その結果が出てからだ。希望は真人の家においてだ。彼と乾杯をしてだ。そのうえでこう言うのだった。
「御見事です」
「うん、やったよ」
祝杯のレモンティーを飲みながらだ。希望は満面の笑みで行った。
「本当にね。やったよ」
「平均点八十点以上ですか」
「これだといいかな」
「いいと思いますよ」
満足していい点数だとだ。真人も言う。
「クラスでもトップクラスじゃないんですか?」
「多分五位以内には入ってるね」
「なら満足すべきかと」
「そう。じゃあ」
「僕もそれ位でした」
真人もだ。いい成績を残していた。とはいっても彼は前からだが。
「よかったです」
「御互いによかったね」
「そうですね。特にですね」
「うん、僕はこれでね」
「あの家を出られますか」
「今日家に帰ったら言うよ」
自分の両親、彼等にだというのだ。
「そうするよ」
「そうされますね」
「それで明日にでも。荷物を全部持って」
「御部屋にあるものをですね」
「おばちゃん達の家に移るよ」
「あのお家に」
「それでもうお父さんとお母さんの家には戻らないよ」
そうするとだ。はっきりと言う希望だった。
「二度とね」
「そうされますね」
「うん、あの家に入ることもないよ」
「それがいいと思います」
真人も自分が知っている希望の両親達を思い出しながら希望に答えた。
そうしてコップの中のミルクティーを飲みチョコパイを口の中に入れたうえでだ。笑みの中に考えるものを含ませてそのうえでだった。
「遠井君にとっては」
「そうだね。本当にね」
「あの家は何もないです」
希望にとってだ。そうだというのだ。
「いいことは何も」
「悪いことはあってもね」
「他には何もないです」
だからだというのだ。
「あのお家からは離れて下さい」
「うん、そうするよ」
「では本当に今日はですね」
「門出だね」
希望はクッキーを食べつつ述べた。
「僕の人生の」
「そうですね。まさに」
「晴れやかなものが見えたよ」
「晴れやかなですね」
「うん、見えてきたよ」
希望の目は暖かいものになっていた。少なくとも千春と巡り会うまではなれなかった、その目で述べながらだ。そうして言葉を続けていくのだった。
「いい道がね」
「よかったですね。本当に」
「よかったよ。それじゃあね」
「はい、今は乾杯しましょう」
「お菓子でね。それでね」
「それでとは」
「今度はお酒で乾杯しない?」
希望は笑顔で真人に提案した。
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