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ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 2
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、彼は今も次の村、その先にあるであろう第一層の迷宮区、果てはこの世界の頂―――第百層へ向けひた走っているのか?
別に、この世界を攻略し、残ったプレイヤー九千七百八十七名(今現在ももしかしたら何らかの理由で減り続けているかもしれない)を解放する“英雄”となりたい訳ではない。
彼の中にあるのは、このような結末を予想してなかったとはいえ(予想できるはずもないだろうが)この世界に自ら飛び込んでしまった事に対しての責任と、彼女―――ユーリーを、自身の言葉で傷つけてしまった事への贖罪。
・・・そして、このような状況でありながら、あるいはだからこそなのだろうか。この世界で、自分の力が何処まで通用するのか、そのことに対しての、小さな、しかし確かな、高揚。
ようやく、《始まりの街》の門を抜け、数時間前ユーリーと歩いた草原に足を踏み入れた。
仮想の肉体に呼吸の必要はなく(とはいえ、日ごろ無意識の内に行っている行動を止めることは出来ないが)、一切の息切れも、体力の低下もなく走り抜けてきた。元々体力には些か自身があったとはいえ、この処置のありがたみを感じ、しかし、身体の動きの鈍さはやはり気になる。それでも何とか、この身体の機能の限界値とシンクロさせ、その違和感を少しずつ消していくことに七割方成功した。
・・・突然目の前に、灰色の大型犬―――狼を模したであろうモンスターが現れた。視界にその存在を捉えると、迷わず左腰の鞘から剣を引き抜く。
「っ!!」
七割方慣らし終えた体と、思考とを最大限に駆使し、すれ違いざまに一閃。だがその一閃は、違わずモンスターのウィークポイントをついたのだろう。その肉体をポリゴン片へと変質させ、煌びやかなエフェクトと共に爆散する。
だが、それには目もくれず、剣を鞘に戻したレンヤは、ただひたすらに、七割方慣らした身体を十割に少しずつ持っていきながら、自身の全力をもって大地を蹴っていた。
・・・・・・その後、僅か一ヶ月で二千人近くものプレイヤーが死んでしまった。未だに第一層は攻略できていない。
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