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アインクラッド
〜剣の世界〜 2
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ボタンを押す以外の方法は存在しない。
だが、飛び込んできたその言葉は暗に、少なくとも今現在それが出来ないということを示していた。
その言葉に多少の不安を抱えながらレンヤは、右手で《メインメニュー・ウィンドウ》を開き《ログアウト》ボタンを探す。
しかし・・・
「・・・・・・ない・・・?」
「え? ないって、何が?」
漏らしたその言葉を目ざとく拾ったユーリーだが、その問いに答えることも忘れ、彼は今一度《メインメニュー・ウィンドウ》をしらみつぶしに調べていく。
・・・しかし、どこを探しても《ログアウト》ボタンは見当たらない。見つけたのは、そのボタンがそこにあったであろう謎の空欄だけだった。
「ねぇレンヤ、いったい何がないのさ?」
さらに声をかけるも反応を見せない相手に痺れを切らしたユーリーが、彼のウィンドウを覗こうと動くと同時に、誰かが叫んだ。
「あ・・・上を見ろ!!」
反射的に、およそ一万人のプレイヤーが上空へと視線をむけた。そしてそこに、異様なものを見つける。
百メートル上空、第二層の底に、深紅の横に長い六角形の模様が浮かび上がり点滅している。その中に【Warning】【System Announcement】と交互に表示される赤いフォントが見えた。
それを見た他のプレイヤー達が一様に、この事態についての緊急アナウンスが始まるのだと安堵しかけた途端、その六角形は瞬時に空を埋め尽くすと、その中央部分から巨大な血液のような粘度の高い液体が滴り落ちてくる。しかしそれは完全に落下してくることなく、突如空中で蓄積されていった。
蓄積されたその血液のようなものはその形を変え、およそ二十メートルにもなろうかというほどに巨大な、深紅のローブを身に纏った人の姿をした“何か”へと変貌した。
というのも、見上げたフードの中身は完全な空洞なのだ。両腕の袖もやはり空洞で薄暗い闇が広がってるた。
一瞬、GM(ゲームマスター)なのではないかと考えるが、なんとなく違うと、レンヤの本能は告げていた。こんな親しみやすさが一切なく不気味極まりないGMなど、存在してほしくはないと誰もが思うであろう。
ただただ人々の不安を煽るその深紅のローブは、左右の腕を広げると、静かにその口を開いた―――様に見えた。
『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』
この言葉の意味を、咄嗟に理解できた者がどれだけいただろうか?
今彼らの目の前に現れたのが運営サイドのGMであるならば、この世界の操作権限はすべてこの巨大な赤ローブに身を包んだその人物にあり、プレイヤーからしてみれば正に神に等しき存在だといえる。
しかしながら、その宣言をこの場でする意味はやはり理解できない。そもそもこの場にいる全てのプレイヤーは無意識にそのことを理解
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