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ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 1
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案ずる感情は確かに本物だと、そう思えるほどに、ダンディもどきからは確かな“あたたかさ”を感じた。
 そう気づいたとき、彼は自然と声を発していた。
 「・・・オレ、βテストの時にもパーティを組んでないんだ!」
 その言葉に、ダンディもどきは足を止め振り返る。駆け寄ってきた彼はさらに言葉を続ける。
 「だから、パーティプレイの感覚とか、いまいちわからないんだ。だから、その・・・」
 そこまで口にし、次の言葉が喉元で引っ掛かる。自身から拒絶するような言葉を浴びせながら今更何をと、自分自身で理解していた。それでも、この男には伝えたい言葉があった。
 ダンディもどきもそれを理解したのだろうか、穏やかな笑顔を浮かべる。しかし、この男がした手助けはここまでだ。彼の言いたいことはなんとなく理解できたが、それは決して口にしない。
 彼が今後、この世界を本当に楽しむ為には今ここでその言葉を彼自身の口から発せられなければならない。そしてそれを笑顔で受け入れる。この男のするべき事はここまでだ。
 ・・・そうして遂に、意を決してその言葉を口にする。
 「オレと、パーティを組んでくれないか?」
 その言葉にダンディもどきは嬉しそうな笑顔を向け肯く。
 「あぁ、もちろん。俺はと・・・【レンヤ】だ」
 そう言って、ダンディもどき――レンヤは右手を差し出した。それを確かに握り返し、彼もまた笑顔を浮かべる。
 「ありがとう。オレは【ユーリー】。よろしく」
 そういった彼――ユーリーが浮かべた笑顔は、彼がこの世界で、もしかしたら現実世界の時ですら浮かべたことがないほどに、彼の人生の中でも最大とも言える笑顔だった。


                   §


 「どう? 大分慣れた?」
 《はじまりの街》を出てわりとすぐの草原。辺りを見回せば、少しではあるがモンスターがうろついている。とはいえ、そのモンスター達との距離は十分以上離れているので、そのモンスター達に襲われる心配は皆無だ。
 そんな草原にいるモンスター、青い体毛のイノシシ―――【フレイジーボア】を相手にしている二人のプレイヤーがいた。今まさに、そのフレイジーボアは体力――HPを全損させ、眩い爆散エフェクトにて電子の肉体であるポリゴンデータを撒き散らした。
 その光景を眺めつつ言葉をかけたのは、金髪碧眼が目立つプレイヤーのユーリー。
 「まぁ、慣れたといえば慣れたし、モンスターを倒したときの爽快感は当然ながら他のゲームじゃ味わえない。まず間違いなく、『面白い』と言える・・・」
 ユーリーの言葉に、フレイジーボアを倒した際に振りぬいた姿勢をそのままに、少々渋い顔を浮かべるダンディ――レンヤは、その渋い表情と同じ渋い声で続ける。
 「・・・しかし、この《ソードスキル》というのはどうにか
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