暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 1
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と彼が忌避してやまな事になるのは火を見るよりも明らかだ。結果、再び警戒心を強め、つい挑戦的な口調で言葉を放ってしまう。
 「・・・まぁ、そうだな。それで、アンタはどんなふうにオレを利用する?それとも、βテスターのオレになんか意地でも力は借りないと拒絶するか?」
 せっかくの正式サービスの初日、しかもログインして間もないというのに早くも敵を作ってしまった事を深く後悔するが、利用されるくらいなら始めから他者と関わらなければいいと自身に言い聞かせ、彼の態度に対する罵倒の言葉を待った。
 「えっ? いや、利用も拒絶もしないぞ」
 しかしながら、このダンディもどきから発せられた言葉は、彼の予想とは大きく異なった。羨望も嫉みもなければ、その口調からは興味さえ感じられなかった。
 「いやまぁ、βテスターであること自体は羨ましいなとは思うさ。俺も、βテストに応募した一人だからな。とはいえ、それだけだよ。自分が当選しなかったからってそいつを恨むのは筋違いだし、そいつを利用して、いらなくなれば切り捨てるなんてのも人間としてどうかと思うしな」
 さらに続けられたその言葉に、つい言葉を失ってしまう。二の句が紡げずに唖然としていると、ダンディもどきは心配そうに彼を眺めてきた。
 「・・・もしかして、このゲーム以外でそういう経験があったのか?」
 その言葉で身体の硬直が解け、同時にあまり思い出したくない記憶がよみがえる。
 内容自体は今回の件とは全く異なるが、ダンディもどきの言うとおり、過去にネットゲームで嫌な思いをしている。自分自身が直接的な何かをされた訳ではないにもかかわらず、《ナーヴギア》でのネットゲームがない時代―――まだ相手の顔も見えなかった(とはいっても、このゲームでも本当の顔をさらしているわけではないが)時のトラウマはいまだ強く根付いてる。
 それでもこの《ソードアート・オンライン》にログインするあたり、自身の無駄にタフなゲーマー魂に少々の嫌気がさしたものだ。だからこそ彼は、このゲームをプレイするにあたって一つ決めていたことがあった。
 無言のままの彼をみてダンディもどきは、その決め事を見抜いたのか口を開く。
 「・・・なら、俺はここにいない方がいいな。またどこかで会えた時、気が向いたら声をかけてくれたら嬉しいかな・・・・・・。君も君なりに、このゲームを楽しんでくれ」
 そういってその場を離れていくダンディもどき。その背中を見つめ、更なる自責の念にかられる。
 データだらけのこの世界では、真実と嘘の境目が非常に曖昧だ。現実世界でもその境目は曖昧なのだ。ましてやデータで敷き詰められた仮想世界。いくらそこで実際に他の人と出会うと言っても、その肉体自体が既に虚偽なのだ。その嘘だらけの世界で、真実を探すのは困難を極める。
 そんな中で、あの男の、彼を
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