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ソードアート・オンライン〜アインクラッド・アクセル〜
アインクラッド
〜剣の世界〜 1
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はいまだ到達してないし、今あるVRゲームすら凌駕する完成度なのは事実ですね」
 ・・・と無難な答えを返す。あまり敬語に慣れていないので言いづらそうなのが相手にも露呈してしまっただろうが、ダンディは気にしたふうもなく笑顔を浮かべた。
 「・・・敬語、辛くないですか? 無理に使わなくてもいいですよ。なんとなくお察しでしょうが実年齢はこのアバターより大分下ですから」
 MMORPGでは、リアルの情報を語ったり詮索するのはあまり褒められた行為ではない。当然ながら、今も個人情報の取り扱いには細心の注意を払わなければならない。ましてやこのネット社会、情報が流れたら回収はほぼ不可能だ。パーティプレイ等の約束事を決める為に自身の生活リズムの事意外口外しないのが普通だ。
 にも関わらずこのダンディ――に見えるプレイヤーはあっさりと個人情報となりえる情報を頼んでもいないのに口に出した事を見るに、MMORPG初心者なのだと予想をつける。つけたところで然したる意味はないのだが・・・
 とはいえ、その意図は読めないまでも(もしかすると意図などありはしないのかも知れないが)相手は自身の情報を口にしたのだ。こちらもそれなりの情報の開示は礼儀だろうと思い口を開く。
 「・・・まぁ、そういうことなら遠慮なく。それと、アンタが何歳かは知らないが、オレも十代半ばだ。そっちも敬語じゃなくていいぞ」
 「そう・・・なのか? じゃあ俺とたいして変わらないのかもしれないな」
 そう口調を砕いたダンディもどきの表情は、心底嬉しそうだ。とはいえ、元々の表情が厳格そうなうえに、このプレイヤー自身が普段そうなのだろうが浮かべる表情は非常に落ち着いたもので、表面的にはその喜びが半分も伝わってこない。
 ・・・とはいえ、半分近くではあるが本物の感情が伝わったのは間違いなく、彼はこのダンディもどきがあまり自身を偽らない人物なのだと理解し、この男への警戒を緩めた。
 「まぁ、リアルの事に関してはその辺までにしておこう。せっかくこの世界に帰ってきたんだ、これから全力で楽しまなきゃな」
 そういってから、自身の発した言葉に含まれたある単語を思い出しはっとするが、目ざとくもこのダンディもどきはそれを見逃さなかった。
 「『帰ってきた』? もしかして、君はβテスターかい?」
 しかもこうもあっさりと言い当てられ、激しく自身の発言を後悔する。
 βテスターは羨望と嫉妬の両方をその身に受け、良くても、βテスターの特権とも言える情報を言葉巧みに求められ利用され、悪くてその嫉みから正式サービスユーザーから疎外され孤立してしまう。プレイヤーによってどちらの方が良いかの価値観は変わってくるだろうが、どちらにせよ浮いた存在であるのに変わりはない。
 このダンディもどきは果たしてどちらなのだろうか?どちらであろう
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