第一章
[2]次話
猫も母は強し
中国山東省のある街でデザインコンサルタント会社を経営している李世良は五十歳になる、長身痩躯で面長の皺が多い顔で髪の毛は真っ白だ。
その彼がある日社員達に言われた。
「あの、会社の前に猫がいて」
「助けたんですけれど」
「どうも妊娠しているらしくて」
「どうしましょう」
「どうしたもこうしたもないだろ」
人情家かつ猫好きの彼は即答した。
「助けないと駄目だろ」
「そうですよね」
「社長ならそう言うと思っていました」
「それじゃあ」
社員達は李の言葉に笑顔で応えた、そう言うと思っていたが実際に言われてあらためてよしとなったのだ。
それで猫を社内に言えた、その猫は三毛猫で確かにお腹がかなり大きくなっていた。
李はその猫を見て言った。
「もうすぐ産まれる、だから変に移動させたら駄目だ」
「それじゃあですね」
「社内にいてもらいますね」
「暫くは」
「ああ、そうする」
こう言ってだった。
李はその猫を丸々としてタピオカティーの様だったのでボバと名付けてだった。
暫く社内に置いた、この時彼は社員に言った。
「子猫が産まれたらそれぞれ里親を探して母猫は俺が迎える」
「社長がですか」
「そうされますか」
「これも縁だ、それに俺は猫が好きだ」
だからだというのだ。
「そうする」
「そうされますか」
「じゃあ子猫は俺達がそれぞれ引き取ります」
「そうさせてもらいます」
「頼むな、生きもの特に猫好きは大事にしろ」
猫好きとして言うのだった。
「猫は幸せを呼ぶからな」
「ですよね」
「じゃあ皆産まれたら」
「その時は」
「どの子も大事にするぞ」
こう言ってだった。
李はボバに社内で出産をさせた、すると。
ブチが五匹、虎模様が二匹、三毛が一匹だった。ブチの三匹が雄で虎模様の一匹もそうで残りは雌で。
「雄はブチは張良、劉基、呂尚、虎は諸葛亮だ」
「軍師ですね」
「それで揃えましたか」
「雌は菖蒲、梅、牡丹、菫だ」
雌は花だった。
「先はブチの二匹で牡丹はトラ、三毛は菫だ」
「名前もですか」
「そう決めて」
「それで、ですね」
「ああ、皆宜しく頼むぞ。時々母猫に会わせてくれ」
「ニャ〜〜〜」
子猫達に乳をあげているボバもここで社員達に顔を向けて鳴いた、それは是非そうしてという風であった。
その彼女を見つつ李は子猫達にも声をかけた。
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