アインクラッド 前編
Dive to Sword Art Online the World
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ーボア》の強烈な突進を喰らい、青々と茂る草の上にクラインがどさっ、と倒れこみ、そのままごろごろと草原を転がる。それを見たキリトが声を出しながら笑い、クラインを追撃しようとしていたイノシシを片手剣単発技《スラント》で斬りつけた。途端に青イノシシは情けない断末魔を響かせながら青色のポリゴン片となった。
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけねーだろ! 何で剣が当たんねーんだよォ! 当たり判定がおかしいんじゃねーか? コレ」
クラインはぼやきながら足元に転がっている小石を投げ、そのままもう一度仰向けに寝転がる。そして、なんとなく自分が投げた石の行方を見て、急に顔を青ざめさせながら叫んだ。
「ま、マサキ、危ねぇ!!」
その声にマサキが振り向くと、今さっきクラインが投げた小石が当たってしまったのか、一頭の青イノシシがこちらに突進してきていた。しかも、なぜかマサキをターゲットにしている。もう距離は目と鼻の先で、回避も迎撃も間に合わない。――そう、キリトとクラインは考えた。
が、マサキはスッと左足のかかとを後ろに振り上げた。正確に牙と牙との間、下顎をかかとで捉え、そのまま蹴り上げる。イノシシは突如襲ってきた攻撃に体をのけぞらせ、その突進を止めてしまうと同時に、無防備な腹をさらけ出す。マサキはすぐさま左足を戻しつつ体を左によじると、二つの反動を利用して半回転しながらサッカーのボレーシュートよろしく右足を振りぬいた。無防備な腹を打ち抜かれたイノシシは先ほどのクラインのように吹っ飛ばされ、草原を転がる。その隙をマサキが見逃すはずがなく、着地してすぐさま先ほど買った柳葉刀を肩に担ぐようにして構えると、オレンジ色のエフェクトで刀身を包みながら駆け出し、そのまま片手用曲刀基本技《リーバー》で青イノシシのたてがみを切り裂いた。
「おお……」
「強い……」
マサキが刀を鞘にしまって二人のいる場所に戻ると、彼らは揃って口を開けて立ち尽くしていた。それもそのはず、マサキの動きは反応速度、その後の攻撃の速度、そして正確さの全てにおいて明らかに初心者の域を逸脱していた。それどころか、今の一連の動きはキリトでも出来るかどうか疑わしい。それだけのことをマサキは余裕でやって見せたのだ。二人の驚きも当然、といったところだろう。だが、キリトが驚いたのはそこではなかった。
「マサキ。今の攻撃、どうやった?」
「どうって……?」
いつになく真面目な顔でキリトが問うが、マサキは彼が何を言っているのかさっぱり分からない。いかにマサキの頭がよくても、ここまでノーヒントだと流石に推測不可能だ。そのことに思い当たったのか、キリトは慌てて続きを話し始めた。
「ああ、えっと……今のマサキの技は、本来あんなに速くないんだ。だけど、ソードスキルの動きに逆らわないよ
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