無間アスタリスク
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第1管理世界ミッドチルダ 北部
アウターヘブン社FOB
夢……。
私はまた夢を見た……ここではない異質な世界。存在自体あやふやで、現実と虚構の狭間に位置する物語。
この夢が何を伝えようとしているのかはわからない。ただ、見えるってことは何か私に必要なことが込められていると、そう思いたい。
夢の始まりは見覚えのない荒野。名も無き騎士達の屍が大地を覆いつくすほど転がっている光景は、そこで数多くの命が失われた大規模な戦闘があったことを示唆していた。
その屍の山を背に、彼が佇んでいた。見た目はジャンゴに瓜二つだが、私の知っている彼ではない。深紅のマフラーを纏っていない上、青年の体躯をしている彼は恐らく異なる運命をたどった太陽の戦士だ。そしてそんな彼の目は、深い絶望と悲しみに彩られていた。
そんな彼の下に甲冑をまとった一人の女性が神妙な面持ちでやってきた。あれは、ガレアを統治していた頃のイクス?
「復讐に彩られたる常世……覆いつくすはヒトの妄念。愚者の統べる世が破滅をもたらし、混沌の果てに真の救済が……あぁ、遅かったな」
「これは……あなたが?」
「そうだ、オレがやった。お互いに死んでも譲れないものがあったからな。そして、お前も戦いに来たんだろう?」
「いえ……あなたは各国の思惑に翻弄されただけ。俗人達に悪意を向けられただけで、あなた自身に過失は無かったはずです。そんなあなたと戦う理由はありません」
「お前個人で見ればそうであっても、この戦いにオレが勝った以上、忌まわしい連中の建前がある意味では立証されたことになる。国家反逆の危険人物、大量虐殺者……そういった汚名を被った以上、オレはヒトの世から完全に追放された」
「そんな……そんなことは……! だって、あなたは……!」
「太陽の戦士、か? だがポリドリもアンデッドもいない今、為政者に制御できないこの力はただの脅威と見做された。要は用済みってことだ」
「でも……そんなの酷すぎます。故郷を奪われ、最愛の女性を奪われ、それでも戦い続けたあなたが……なぜまたヒトに裏切られ、そこまで貶められることになるのですか……!」
「所詮、ヒトはそういう生き物だっただけだ。オレやお前が守ってきた存在は、どうしようもないほどに愚かだった。お前もわかっただろう、人間の本当の姿に。全てのヒトはお前や彼女のような心を持っていない、むしろオレを陥れた俗人達のような悪意を持っている。善人がどれだけ善性を訴えようと、悪人がもたらす悪性の方が圧倒的に強い。ヒトが変わらない限り、この世界が滅ぶ運命は避けられないんだよ」
感情の死んだ声音で彼が淡々とヒトへの絶望を口にしていくほど、イクスの顔は哀しみに覆われていく。たった今、夕日が地平線に沈んで夜に移り変わるのと同
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