第二章
[8]前話
「女の子の方も」
「それじゃあ」
フロレンシアはまさかと思いながらも獣医の言葉に頷いた、そして。
ティトの足は治療してもらってから二匹を詳しく見てもらうと。
「やはりです」
「ジャガランディですか」
「猫じゃなくて」
「はい」
そうだとだ、獣医はフロレンシアと彼女と一緒に来ていたフィデルに応えた。
「間違いなく」
「猫じゃないんですね」
「そっくりですが」
「やがてピューマ位に大きくなります、あと野生動物なので」
だからだというのだ。
「普通のお家では飼えないです」
「えっ、そうなんですか」
「ジャガランディは」
「はい、残念ですが法律でそうなっています」
獣医は飼えないと聞いて驚く二人に答えた。
「ですから」
「この子達とはお別れですか」
「そうなるんですね」
「はい、施設に預けられてそこで訓練を受けて」
そうしてというのだ。
「そこから野生に返されます」
「そうですか、それじゃあ」
「これでお別れですね」
「正式に施設に引き取られるまで時間がありますので」
獣医は自分の話に項垂れる二人に話した。
「あと少しです」
「一緒にいられますか」
「そうなんですね」
「その時まで大切にしてくれますか」
「はい、そうさせてもらいます」
「その時まで」
二人も頷いた、そうしてだった。
二人も両親も施設から迎えが来るまで彼等を家族として大事にした、そして施設の人達が迎えに来た時にだ。
「元気でね」
「野生に戻っても幸せにな」
「ニャ〜〜〜」
「ニャ〜〜〜」
フロレンシアもフィデルも二人の両親もだった。
ティトとダニを敢えて笑顔で見送った、彼等の新しい旅立ちを悲しい顔で見送っては彼等が悲しむと思って。
それで笑顔で送った、すると二匹も。
明るい鳴き声を出して応えた、そうして。
一家は二匹を送り出した、それからＧＰＳ等で状況が把握されて伝えられる二匹の話を二匹が野生に戻る訓練を受けた施設から聞いてその都度笑顔になった。かつて家族だった彼等が元気だと聞いて。
猫の赤ちゃんと思ったら 完
２０２１・６・２０
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