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戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第3節「奇跡の殺戮者」
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とする。

その時、奥の方から爆発音が轟く。

「早いとこ脱出するか……。しっかり掴まってろよ?」

そう言うと、少年は大弓を上へと放る。
瞬間、大弓は変形し、少年の背中へと装着される。

それはまるで、大きな翼のような形状のブースターであった。

「TAKE OFFッ!」

キィィィン……というアイドリング音の直後、少年は拳を頭上に掲げる。

直後、ブースターは火を噴き、少年は勢いよく天井を突き破った。

ドオオオオオオン!!

足元から聞こえて来る爆音。
おそらく、炎がキッチンの可燃物に引火したものと思われるその音は、足元からどんどん遠ざかっていく。

少年は己の拳で次々と天井を貫き、そして最後の天井を突っ切った。

周囲の景色は一転し、一面の赤から黒へと変わる。欠けた月に照らされて、風鳴翔は夜闇に羽ばたいていた。

ふと目を向けると同じように、月に照らされ宙を舞う姿がある。

最愛の少女、立花響が小さな男の子を抱え、己の身体の柔軟性を見せつけるような姿勢で飛んでいるのを見て、翔は思わず笑みを浮かべるのだった。

「どういう飛び方だ、それは」



「ほら、君の大事なお友達だ」
「ダッくん!大丈夫なの!?」
「暑さでぐったりしてるだけだよ。早くお医者さんに見てもらうといい」

翔は抱えて来たダックスフンドを、少女の腕に抱かせる。

少女は愛犬をギュッと抱きしめると、翔の顔を見上げて言った。

「お兄ちゃん、ありがとう!」
「ああ。もうはぐれるんじゃないぞ?」

翔は女の子に手を振りながら、その場を立ち去る。

暫く歩くと、親子が乗り込んだ救急車を見送る響がいた。

「響」
「あっ、翔くんッ!」

振り返った響は、翔と拳をコンッと合わせた。

「お疲れ様ッ!」
「ああ、響もな。あの子、無事でよかったな」
「うん、間に合って良かったよ〜」

既に響はギアを解除しており、翔もプロテクターをトランクに戻している。

「後は純と雪音先輩が、赤猫を捕まえてくれれば、任務完了だな」
「そういえば翔くん、赤猫って何?」
「あー、赤猫って言うのはな──」

二人で歩き始めた、その時だった。

ふと見上げた先に、響は人影を見つける。

「翔くん、あれって……」
「ん?……なんだ、子供?」

集合住宅同士を結ぶ渡り廊下。
その手すりの上に立ち、揺れる業火を見つめる小さな後ろ姿。

しかし、不自然なのはその格好だ。

とんがり帽子に膝下まであるローブ。
まるで、西洋の魔女のような服装に身を包んでいる。

あからさまに怪しい。翔は一目でそう感じた。

「わたし、ちょっと行ってくるッ!」
「ッ!おい響ッ!」

しかし
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