第3節「奇跡の殺戮者」
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なんだろうけどさぁ!!
っと、ときめいてる場合じゃないぞ。
肝心の緑の女の方はというと、翼を見ながら再び剣を掲げ、スカートの裾を掴む。
「……待ち焦がれていましたわ」
「貴様は何者だッ!」
「オートスコアラー」
「オートスコアラー……ッ!?」
ようやく名乗った緑の女。
オートスコアラー……どうも個人名では無さそうだ。何かの造語か?
所属を表すものか、それとも役職を表すものか。或いは……この女そのものを指す名称なのか?
疑問は尽きないが、どうやら思案している暇は無さそうだ。
「あなたの歌を聴きに来ましたのよ……」
剣の切っ先を翼へと定め、女は再び斬りかかった。
ff
「避難経路はこちらです!真っ直ぐ進んでください!」
響が救出した住民を誘導し、避難させる。
翔は向かってくる人々の様子を観つつ、周囲を確認する。
本部で藤尭がマンションの建材と設計から強度を計算しているため、幸い崩れる心配はない。
だが、万が一に備えていつでもアームドギアを取り出せるようにしている。現場では常に想定外が起こり得るのだ。
やがて翔は、避難経路を逆走しようとしている女の子を発見した。
素早く駆け寄ると、しゃがんで視線を合わせる。
「戻っちゃダメだ。この先は危ない」
「でもダッくんが!!」
「ダッくん?」
「わたしのワンちゃん!はぐれちゃったの!!」
目に大粒の涙を溜めて、少女は訴える。
少女にとってその飼い犬がどれだけ大切なのかは、火事の中でも助けに戻ろうとするその様子で伝わった。
「……分かった。ダッくんはお兄ちゃんが連れて帰る」
「ホント!?」
「ああ、約束だ。だから先に外で待っててくれるか?」
翔は真っ直ぐに女の子を見つめる。
女の子は翔の真剣な顔を見て、うん、と頷いた。
「いい子だ」
翔は女の子の頭を撫でると、避難経路とは逆の方角、炎の海へと向かって行く。
「藤尭さん、探知機の感度上げてくださいッ!ワンちゃん1匹、取り残されてるそうですッ!」
『えぇッ!?わ、分かったよ。ちょっと待ってなよ』
そして翔は、指示されたポイントへと向けて駆けるのだった。
「クゥ〜ン……」
火の海のど真ん中。瓦礫に囲まれ、怯える1匹のミニチュアダックスフンド。
主人とはぐれ、逃げ道を失い、迫る炎熱に刻一刻と弱っていく。
消防隊ですら手を焼く大火災。もはや助けは来ないものと思われていた、その時であった。
「はああああーッ!」
瓦礫の壁を構えた大弓で粉砕し、灰鎧の少年が姿を現した。
「いたッ!こちら翔、要救助者1匹、発見しましたッ!」
少年はダックスフンドを抱き上げると、その場を立ち去ろう
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