第3節「奇跡の殺戮者」
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感じざるを得ない不自然さだ。
『翔と響くんは救助活動に、クリスくんと純くんは被害状況の確認に当たってもらうッ!』
「了解ッ!」
「了解ですッ!」
ヘリのドアを開き、ペンダントを握る響。
俺もトランクのロックを外すと、中のパーツを展開させ、装着する。
「……まかせたぞ」
「まかされたッ!」
雪音先輩と視線を交わし、力強く頷く響。
「無理しないでよ?」
「そっちこそ」
俺も純と腕を交差させ、互いを激励する。
「行こう、翔くんッ!」
「応ッ!」
そして俺と響は、同時にヘリを飛び降りた。
「──Balwisyall Nescell gungnir tron──」
「転調ッ!コード・生弓矢ッ!」
装者の胸より生じる歌──聖詠を口ずさむ響。
同時に俺も声紋認証により、自らの鎧を起動する。
眩き光に包まれること刹那。
瞬きの後、歌鳴る装束が身を包み、少女の姿は黄の戦姫となる。
シンフォギア・システム。
旧特異災害対策機動部二課、現S.O.N.G.の技術主任である櫻井了子が提唱した『櫻井理論』に基づき、 世界各地に眠る聖遺物の欠片から生み出された“FG式回天特機装束”の名称。響や姉さん達が纏う対ノイズプロテクターの名前だ。
このいかにも深夜帯アニメに出てきそうなプロテクターは、身に纏う者の感情や想いに共振・共鳴し、旋律を奏でる機構が内蔵されているのが最大の特徴である。
シンフォギアはその旋律に合わせて装者が歌唱することにより、バトルポテンシャルを相乗発揮していくのだ。
一方、俺達『伴装者』が鎧うのは“RN式回天特機装束”。元々シンフォギアのプロトタイプとして開発された装備を改良したものである。
本来は『一定値以上の適合率を有する女性』にしか装着できない特性を持つシンフォギアだが、RN式は使用者に適合率や性別を問わない装備として造られた筈だった。
しかし、強靭な精神力によって初めて起動・制御が可能となる条件に加え、起動出来たとしても展開されるのは対ノイズ用のバリアコーティングのみ。
更に、常人の精神力では維持する事すら出来ずに効果が切れ、起動するだけで激しく消耗してしまう等々、多くの欠陥を抱えたあまりにピーキーすぎる特性から実用化は絶望的とされ、倉庫で埃をかぶっていたのだ。
開発者からもガラクタと称されていたRN式だが、とある出来事をきっかけに日の目を見る機会を得る。
使いこなせる資質のある者が見つかり、改良を重ねた今のRN式は、今や装者を支えるに足る実用性を備えた装備へと生まれ変わったのだ。
「一点突破の決意の右手──
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