第3節「奇跡の殺戮者」
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……ちくしょう。口元すら微動だにしねぇ。
憎まれ口叩いても反応しないし、職務に対してクソ真面目だからな……。
いつになればこの鬱憤を晴らせるのやら……。
と、マネキンだらけの衣装置き場を通りかかった時だ。
空気の通る音と共に、周囲のマネキンが着ている衣服が目に見えて揺れる。
「風……?」
「──誰かいるのかッ!?」
ハゲと丸刈りを含め、反射的に四方へ向かって構える俺達。
「司法取引と情報操作によって仕立て上げられたフロンティア事変の汚れた英雄。マリア・カデンツァヴナ・イヴ……」
「何者だッ!?」
周囲に響く女の声。
その時。頭上、一段上のマネキン置き場から一体、緑を基調としたフラメンコダンサー風の衣装を着た女の人形が動き出し、真下にいた丸刈りに襲いかかる。
そして、まるで踊るような動きで丸刈りに掴みかかると……なんと、その唇を奪った。
「──うわッ!?──ん、んんんッ!んんんんんん……。………………」
女に唇を奪われた丸刈りは、苦しみの呻きを上げながらもがく。
しかし、その髪の色素は徐々に薄くなり、5秒経つ頃には既に生気を吸われたかのように干からびていた。
「離れろッ!!」
今度はハゲが銃を取りだし、3発続けて発砲する。
しかし、もう遅い。動かなくなった丸刈りを床に投げ出すと、女はスカートを翻した。
「フフフ……」
「がっ……!?」
女がスカートを翻した瞬間、突風が巻き起こり、銃弾は動きを反転させた。
跳ね返された銃弾は、ハゲの眉間と右肩、そして心臓部に命中。ハゲは鮮血を吹き出して倒れた。間違いなく即死だ。
「な……ッ!?」
「吸血鬼か何かか!?それにしちゃ随分ケバいな」
「あら、レディに対して随分な物言いですわね」
一瞬にして、政府直属のエージェント2人を即死させた超常の力を持つ緑の女。
カタカッカン、とリズミカルに足を揃えると、そいつは両眼を爛々と輝かせ、俺達2人に目を向けた。
「ですが……纏うべきシンフォギアを持たぬお前達に、用はない……」
ff
『付近一帯の避難はほぼ完了。だが、そのマンションに、多数の生体反応を確認している』
「取り残された人達か……」
輸送ヘリの中で、テレビ通話にて現場の状況を確認する。
移動中に着替えたので、全員いつでも出られる状態だ。
『防火壁の向こうに閉じ込められているようだ。さらに気になるのは、被害状況が依然4時の方向に拡大していることだ』
「赤猫が暴れていやがるのかッ!?」
「計画的な犯行の可能性は高いね……」
タブレットで現場の地図を確認すると、確かに火の手は団地の一点方向へと広がっている。
ただの事故にしては、意図的なものを
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