先立つ"砂崩し"
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ザッ……
緑の服と白い外套に身を包み,頭にかぶるのは「風」の字を刻んだ笠。左右には護衛と思しき二人の忍を従えている。
その男の前を遮り,同じく三人組の忍が立ちふさがった。中央の人物は青白い顔に黒い長髪,目には隈取のような紫の模様が浮かび,その整った顔立ちに気づかないほど不気味な雰囲気を醸し出している。左右に控えるのは,眼鏡をかけたインテリ青年と白髪に赤い麻呂眉の男である。
「俺に一体何の用だ。木ノ葉の抜け忍……大蛇丸……!」
「ごきげんよう,四代目風影。悪いけど,アナタにはここで消えてもらうわ。」
「目的は聞くだけ時間の無駄か。どういうつもりなのかは知らんが,そちらがその気なら消えることになるのはお前のほうだ。ビンゴブックSランクの重罪人……ここで俺が始末してやろう。」
「果たしてアナタにできるかしら。」
「試してみるといい。貴様ごとき片づけられないで,風影の名が背負えるか。」
「確かにそうね。生半可な覚悟で"風影"に挑んでも,返り討ちに合うだけ……けれど,それは逆も同じこと。」
「何が言いたい。」
「こういうことよ……。」
バッバッバッ!
「!」
大蛇丸が印を結び始めたのを見て,羅砂の左右に控える護衛がすぐさま反撃の準備をする。
「待て,迂闊に手を出すな。お前たちは後ろの二人を始末しろ。大蛇丸は俺がやる。」
羅砂は冷静に様子を窺いながら,はやる二人の部下を制止する。
「良い提案じゃない,正々堂々,"一対一"でやろうというわけね。」
パン!
大蛇丸は印の最後に両掌を合わせつつ,後ろに控える部下に命令する。
「カブト,君麻呂……そこのゴミ二匹,頼んだわよ。口寄せ・穢土転生!!」
ゴゴゴゴゴ!!!
大蛇丸が唱えると,地面から等身大サイズの木箱が二つ出現する。その二つの木箱には,それぞれ「初」「三」の文字だ。
「何だ,それは……?」
棺桶にも見える奇妙な箱が召喚されたのを目にし,羅砂は訝しげな表情を浮かべる。
「どうやら初めて見るようね。無理もない……これは二代目火影・千手扉間が開発した死者を蘇らせる禁術……。」
「死者を蘇らせるだと……?」
大蛇丸の言葉を聞き,羅砂はますます眉をひそめる。
「そう……この術を扱えたのは忍の歴史上でも開発者である千手扉間ただ一人……けれど,私が改良を加えて復活させた。今では私が唯一の使い手。」
「転生忍術の話なら,里の相談役から聞いている。ああいうのは術者の命と引き換えに発動するもの……お前が無事だとはどういうわけだ。」
羅砂は,孫のために術の研究開発に打ち込んだ老婆の姿を思い出す。もちろん,その"孫"と,今目の前にいる重罪人との間に奇妙な因縁があることなど知
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