四十九 トロイの木馬
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シカマルに注意が向いている今、飛段と角都は彼女に気づかない。
「──終わりだ」
(【心転身の術】!!)
刹那、ガクン、と飛段の頭が項垂れた。
寸前まで散々喚いていた相方が静かになったことに角都は疑問を抱く。
飛段の影に突き刺さっていたチャクラ刀を影で抜き取ったシカマルが角都に向き合った。
(どういうことだ…)
シカマルのチャクラ刀が影から抜かれても、飛段は動かない。
それどころか、手元から離れた三刃の大鎌を手にすると、飛段は角都に向かって無言で振り上げた。
「な…」
角都は動けない。
未だ、チャクラ刀で己の影を縛られている今、身じろぎできない。
その角都目掛けて飛段が鎌を振るう。
シカマルの影で操られていないはずなのに、仲間である己へ刃を向ける飛段に疑問を浮かべつつも、飛段は咄嗟に足元へ視線を投げた。
シカマルの影が角都へ迫る。飛段の鎌が角都の首を狙って風を切った。
「…ッ、なに…」
間一髪。
屈んで鎌を回避した角都に、シカマルが目を見開く。
チャクラ刀を投げ捨てたソレは、地面から生えている腕。
角都の腕だ。
本体から離れた腕が単独で動いている。
最初、起爆札で攻撃したあの時、爆炎に紛れて、切り離した右腕を地中に潜り込ませた角都は、チャクラ刀を影から抜くことで自由になった我が身を確認する。
触手を生やして自在に動く腕を回収しながら、既に距離を取って警戒しているシカマルを、角都は賞賛した。
「俺の能力はお前にとって未知数。ならば、きちんと距離を取って次の手を仕掛ける…俺の連れと違って賢いな、お前は」
そう褒めつつも、角都は「だが、」と指摘する。
遠くに投げ捨てられたチャクラ刀を影で回収しながら、シカマルは角都を睨み据えた。
「戦闘中に分析ばかりしていても全てが計算通りにいくものじゃないぞ」
舌打ちするシカマルを前にしながら、角都は飛段の様子を窺った。
いつもの飛段であれば、『俺の連れと違って〜』のくだりに反論するだろうに、その様子もない。
やはり無言で、大鎌を振り回し、襲ってくる飛段に、角都は顔を顰める。
(シカマルという小僧の術に操られているわけではない…どういうことだ)
シカマルと飛段の間を確認する。
シカマルから伸びる影が飛段の影と繋がっているわけではない。
にもかかわらず、攻撃してくる飛段に、角都は怪訝な表情を浮かべる。
いのの術である【心転身の術】。
シカマルの術で動けない飛段の精神を乗っ取っている彼女の存在自体を知らない角都は無表情の裏で困惑する。
更に、飛段の攻撃に加え、シカマルから伸びてくる影にも注意しなければなら
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