第一章
[2]次話
ライオンを育てる犬
ビクトル=アガノフォフはウラジオストクの動物園ホワイトライオンパークで働いてる、薄茶色の髪で筋骨隆々の長身の持ち主だ。
その彼が今二匹の赤ん坊の雄のライオン達を見つつ同僚達と話していた。
「母親のシロナがああだとな」
「ミルクをあげなくて」
「しかも噛みさえしますし」
「育てないどころか虐待してますからね」
「シロナのところには預けられないですね」
「シロナも色々あったからな」
母ライオンの過去のことも思いつつだ、ビクトルは言った。
「だからな」
「子供に愛情を持てないんですね」
「どうしても」
「だからですね」
「育てようとしないんですね」
「そうだな、このままだとな」
子ライオン達を見て話した。
「どうしようもない」
「脱水症状に栄養失調なので」
「命の危険もあります」
「それならですね」
「どうにかしないと」
「私達で育てるか、いや」
ここでだ、ビクトルはふと閃いた。そうして同僚達に言った。
「チーターは犬が育てているし日本では虎を育てた話があった」
「じゃあ犬ですか」
「犬に育ててもらいますか」
「そうしますか」
「そうしてみよう」
こう言ってだった、彼は。
すぐに知り合いの飼っているジャーマシェパードの雌、八匹の子犬達を育てている彼女に来てもらうことにした、丁度いい具合にだった。
子犬達も適度に育っていた、それで知り合いに頼んでその犬サンドラに動物園に来てもらった。そうしてだった。
彼女を子ライオン達に会わせるとすぐにだった。
「ワンッ」
「ガウ」
「ガウガウ」
ライオン達に優しく寄り添ってライオン達もすぐに懐いた。
そうして授乳や躾等の子育てに入った、サンドラはとても優しい親で。
子ライオン達、エシディシとカーズはすくすくと育った。その状況を見てビクトルはほっとした顔で笑顔で話した。
「成功したな」
「はい、もう大丈夫ですね」
「二匹共無事に育ちます」
「あそこまで成長しますと」
「もう安心ですね」
「犬は賢くて愛情豊かだ」
そうした生きものだからというのだ。
「それでだ」
「ああしてですね」
「種類が違っても育ててくれますね」
「ライオンの子供でも」
「人間の子供にも優しいんだ」
犬という生きものはというのだ。
「それならな」
「ライオンの子供でもですね」
「そうしてくれますね」
「ああして」
「そうだ、本当によかった」
ビクトルは無事に育ったライオン達と彼等を育てたサンドラについて心からこう思った、そして後日。
ドイツシュトゥケンブロックのサファリパークに研修で行き今のドイツのサファリパークの在り方について学んでいる時にだ。
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