第五章 トリスタニアの休日
幕間 待つ女、待たない女
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れくらいたったの?
……っあ〜っ! もう! わかんない! なんなのよここ! なんでこんな訳のわからない夢でこんなに悲しくならなきゃ! 苦しくならなきゃなんないのよ! もう! なんなのよ!!
「……士郎さん」
頭を抱え、奇妙に心地いい床をごろごろと転がっていると、歌を止めた女性が膝の上で眠る士郎に優しく撫でるように声をかけた。口元を緩め、小さく笑いながら、女性は声をかけ続ける。
「あなたの夢は、これからもあなたを傷つけ続けるでしょう」
シロウの夢? 傷つける? どういうこと?
身体を起こし、士郎たちを見つめるジェシカ。
女性の声が、次第に涙声になっていく。
「あなたのこ、とです……きっと支えて、くれる人や、抱きしめ、てくる人が、きっと、これ、から、多く現れる、でしょう」
……まあ、確かにそうね。現にあたしがここにいるし、ルイズの話しだと、他にもいろいろいるようだし。
笑いながら泣いているのか、泣きながら笑っているのか……女性は、ただただ、士郎のことを案じていた。
「それでも……例え、あな、たが、私のことを、忘れてしまっても……」
忘れる……か、それは……悲しいし……苦しいし……それは、嫌だな。あの二人は、きっともうすぐ出て行く……。
……そして、さっきみたいに……あの子を守って死にかけるんじゃ……。
目を閉じ、ゆっくりと士郎に顔を近づける女性。
「私は……いつまでも、ここに……います……ここで……あなたを……」
シロウがいなくなったらあたしはどうする? シロウのことを忘れて他の男を探す?
自分のことをかえりみることなく人を守ろうとする……あんな馬鹿な男を忘れて?
……ははっ……無理ね。
そんな簡単に忘れられる人じゃないわよ……幸か不幸か……。
なら……しょうがない……。
願うように、祈るように頭を下げた女性は、額が士郎の髪に触れると、小さく、本当に小さく
「……待っています」
追っかけるか!
囁いた。
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