第五章 トリスタニアの休日
幕間 待つ女、待たない女
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は、話しが違うじゃない……。
お、男って、一回したら時間を置かないと出来ないんじゃなかったの?
連続で出来るなんて聞いてないわよ……!
……もしかして、あたし騙された?
それともシロウが特別?
……後者ね。
…………絶ッ対ッ後者。
他の男もシロウと同じだったら、結婚した相手が死んでないとおかしいし……!
は、初めてって言ったのに……!
初めてって言ったのに!!
何が大丈夫よ!
何が安心しろよ!!
何が俺に任せろよ!!!
あ、あたしが知らないことをいいことに、あ、あんなことや……こんなこと……そ、そんなこ、とまで……あ、あたしって、な、何てことしたのよ……。
そ、そりゃまあ。き、気持ちよかったわよ。言われたとおり、そんなに痛くもなかったし。
でも、こんなあたしでも初体験に夢を持っていたのよ……。
二人っきりで話していた時に、不意に真剣な顔をしてあたしの手を掴んで……そして、ゆっくりベッドに押し倒して……って。
そんな風に考えてたのに……!
そりゃ現実は理想通りにいかないことぐらい、わかってたけど……!
でも初体験が三人ってないでしょ!!
『魅惑』の魔法が掛かったビスチェを着ていたからって、普通二人まとめて押し倒す?!
……まあ、一人であのシロウの相手をしたら壊れちゃってたかもしれないけど……でも、やっぱりあたしは…………。
って言うか、シロウこいうこと絶対初めてじゃないって!
完全に慣れた手つきだったし!
完璧に制御下に置かれてたしあたしたち?!
それにあれ、まだまだ余裕があったわね……あと二、三人増えても余裕ねあれは。
はぁ……とんでもない相手に惚れてしまったみたいね、あたしは……。
……って言うかあたし……
「何でこんなところにいるの?」
満開の星空の下、記憶に新しい初体験のことを思い出しては、顔を赤くしては転げ回り、青くしては頭を抱えていたジェシカだが、不意に自分のいる場所に疑問を持ち声を上げた。
「あたし、さっきまでシロウたちと一緒に寝てたのに」
首を動かし辺りを見回す。
空には満天の星空が広がり、地上を照らし出していることから、時間帯は夜だと思う。星明かりで見える範囲では、どうやら自分が今いる場所は、草原の中だと思うけど……。
「……夢ね」
空を仰ぎ見ながらポツリと呟く。
肌に触れる風。
夜霧で濡れた草を踏む感触。
冷えた空気に鳥肌が立ち、吐く息が白い。
身体が伝える感覚は、これを現実だと訴えているが、ジェシカは夢だと断言する。
理由はある。
これ以上ない理由が。
それは空。
自分を照らす大元。
それは……。
「月が一つなんて……ありえない
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