第一章
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穏やかな馬達
イギリスからイタリアまで旅行に来ていたコーネル=マッカートニーはこの時イタリアの冬の森を見ていた、そして一緒に旅をしている恋人のダイアナ=マーリンに言った。
「ここは自然が豊かだから」
「それでよね」
「うん、狼だってね」
この生きものもというのだ。
「見られるかも知れないよ」
「狼ね」
ダイアナはこの生きものの名前を聞いて少し微妙な顔になった、黒髪をボブにしていて明るいグレーの瞳で長身ではっきりとした顔立ちだ。コーネルは黒髪をオールバックにしていて黒い目で面長でダイアナより十センチは背が高い。
「実は人を襲わないから」
「安全だよ」
遭遇してもとだ、コーネルは笑顔で答えた。
「高校で生物教師をしている博士号も持つ僕が言うんだから」
「大丈夫ね」
「うん、それじゃあね」
「狼に出会っても」
「怖がることはないよ」
こうした話をしてだった。
二人で冬の森の中雪に覆われたその中を歩いていると。
六匹の狼達がいた、そして。
傍に馬がいた、ダイアナはその狼達と馬を見て言った。
「誰かの馬かしら、食べられない?」
「いや、ここにいるのはイタリアオオカミだけれど」
コーネルは生物の教師それも博士号を持つ身として答えた。
「小動物を食べるから」
「馬は襲わないの」
「うん、それでね」
そのうえでというのだ。
「馬も野生の狼に遭うとか思わないし」
「そういえば警戒していないわね」
「犬みたいなものとね」
その様にというのだ。
「思っているよ」
「そういえば」
ダイアナは状況を見た、見れば。
「クウン」
「クンクン」
「ワン」
「ガウガウ」
「ワンッ」
「ガウッ」
狼達は馬をはじめて見る感じで警戒している、そして馬は白と黒の模様だったが。
狼達を見ても何も思わず草を食べていてやがて。
一匹で遊びはじめた、狼はそんな馬を見ているだけだった。
「ヒヒンッ」
「何もないみたいね」
「飼い主さんが来たけれど」
馬のところに中年の男が来た。
男は馬の首に手を当てて優しく何かを言って馬を連れ去った、狼を見たが特に何もしないでそのまま去った。
狼達も馬が飼い主と共に去ると何処かに行った、その一部始終を見てコーネルはダイアナに対して言った。
「狼も食べるものがあるから」
「無闇に襲わないのね」
「馬でもね、そして馬もね」
「狼を犬みたいに思っていて」
「狼と思っていないよ」
滅多に遭わないからだというのだ。
「犬とね。だからね」
「何もなかったのね」
「そうだよ、こうしたこともあるんだ」
恋人に笑顔で話した、そのうえでイタリア旅行を楽しんだ。
その一年後二人は今度はフォークランドに来た、
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